葬儀では、いたる場面で「花」が使用されます。
どんな花が葬儀で使われ、それぞれどのように手配をしたらいいのでしょうか?
そんな疑問を解決するため、この記事では葬儀で使う花の種類や用途、特徴や手配方法についてご紹介します。
葬儀で使われる花
葬儀で使われる花は、大きく5つに分けられます。
「花祭壇」「献花」「枕花」「供花」「花輪」です。
それぞれの花について用途や特徴をご紹介します。
花祭壇
花祭壇とは、花をベースにして作られた祭壇のことです。
祭壇と言えば従来は、白木を組んだ「白木祭壇」が使われることが一般的でした。
2000年代初頭までは白木祭壇が使われることが多く、花祭壇を使用するのは著名人の葬儀や社葬などで稀に見られるものでしたが、近年では花祭壇が選ばれることが多くなっています。
花祭壇の意味
花祭壇を飾ることには、故人の好きだった花や故人の人生を表すような祭壇にすることで、遺族が故人を悼むという意味もあります。
近年では白い菊だけでなく、故人の好きだった色の花や好きだった種類の花、イメージに合う色の花で飾ったり、故人の趣味を花祭壇で表現するということも珍しくありません。
かわいらしいイメージだった故人のためにピンクの花を中心に飾ったり、ゴルフ好きだった故人のためにゴルフ場をイメージした祭壇を作ったりと、故人の人生を振り返ることで故人を弔うとともに遺族の慰めにも繋がります。
花祭壇の特徴
花祭壇は、白木祭壇に比べると見た目が華やか、またデザインの自由度が高いという特徴があります。
既にご紹介した通り、近年では様々な種類の花、デザインで祭壇を作ることができます。
花祭壇で使用した花は、出棺の際に花屋や葬儀社が切ってお盆に載せ、参列者みんなで棺の中に収めることが一般的です。
手配方法
花祭壇は葬儀社とどのようなデザインにするか打合せをして、葬儀社が花屋または自社の生花部に依頼します。
打合せの際には、飾ってほしい花の種類や色、デザインなどがあればしっかりと伝えましょう。
季節によって希望の花を手配することが難しいこともあります。
献花
献花とは、主にキリスト教や無宗教の葬儀で、故人に花を手向けることを言います。
献花の意味
献花は、仏式で行われる焼香の意味と同じで、故人にお別れを告げるという意味合いを持ちます。
献花の特徴
献花には、カーネーションなど茎の長い生花が使われることが多いです。
色は白やパステルカラーが多いですが、故人の好きな色や好きだった花を使うこともできます。
手配方法
献花に関しても、喪主が葬儀社との打合せによって種類を決めて手配します。
特に指定しない場合には、白いカーネーションになることが多いです。
希望がある場合には事前に伝えましょう。
枕花
枕花とは、亡くなった知らせを受けてすぐに送り、故人が安置されている枕元に飾る花です。
枕花の意味
枕花には、故人への哀悼の意を示すということのほか、遺族と故人を失った悲しみを分かち合うという意味合いもあります。
また近年、通夜や葬儀などの儀式をせずに火葬だけで済ます形式をとっていた場合には、供花を手配する代わりとして枕花を手配することも増えてきています。
枕花の特徴
枕花は、少し小ぶりな籠花にして送られます。
あまりに鮮やかな色や花を選ぶのは避けましょう。
白や淡い青や紫などの色がよく使われます。
手配方法
まず訃報を受けたら、遺族に枕花を送ってもいいかどうか確認します。
近年では家族葬などが増えており、外部の方からのお供えをお断りしていることもあるためです。
もし送っても問題ないようだったら、次の方法で手配します。
手配する方法は大きく2通りです。
1つは葬儀社に連絡することです。
もし自宅ではなく、外部の安置施設などに安置されている場合、生花を持ち込めない場合もあるので確認しておくことをオススメします。
葬儀社によっては、提携している花屋以外からの持ち込みを受け付けていない場合もあるので、葬儀社に連絡する方が確実でしょう。
どうしても知り合いや故人の好きだった花屋に頼みたいなどの事情がある場合には、「他の花屋からお花を送ってもいいか」を必ず葬儀社に確認しておきましょう。
2つ目は花屋に依頼する方法です。
5,000~10,000円程度で枕花用の籠花を作ってもらい、安置先へ配送してもらいます。
供花
供花とは、故人に供える花のことです。
通夜や葬儀で使われる祭壇の近くに飾られます。
供花の意味
供花には、文字通り故人に対して花を供えるという意味合いの他、遺族に対して弔意を示すこと、また祭壇や斎場を彩ることによる遺族への慰めの意味合いもあります。
供花の特徴
供花で使用される花の種類は白や淡いパステルカラーが基本ですが、近年では花祭壇の色や会場の雰囲気に合わせてデザインが多様化しています。
祭壇の脇や式場の両脇に並べられることが一般的ですが、遺族の祭壇費用負担を軽減するために花祭壇に組み込むこともあります。
祭壇の脇などに並べる際には、送り主の名札を差して、祭壇の中央から故人との関係が近い順で並べることが一般的です。
花祭壇に組み込む際には、芳名版に名札が並べられ、祭壇の脇や式場の入り口などに掲示されます。
手配方法
供花も枕花と同様に、遺族に確認を取ったら葬儀社または花屋を通して手配します。
供花の場合は、祭壇や式場の雰囲気に合わせて一律に同じ花を飾ることが多いため、特別な事情がない限りは葬儀社に依頼するのが無難です。
また、祭壇に組み込む場合などには、別の花屋に依頼してしまうと遺族を困らせてしまうことにもなりかねません。
遺族からのお知らせなどで施行を担当する葬儀社が分かったら、まずはインターネットで葬儀社を検索して、公式のホームページを確認しましょう。
近年ではホームページ上から供花を注文できたり、FAX送信用の注文用紙をダウンロードできる葬儀社もあります。
そういったページが見つからない場合には、電話で手配すれば確実です。
供花は1基、2基と数え、2基で1対と呼ばれます。
金額の相場は1基あたり15,000円前後です。
喪主や遺族も供花を出すことがあります。
喪主は「喪主」として出しますが、遺族は「子供一同」「孫一同」など、まとめて出すことも多いので遺族間で相談しましょう。
花輪
花輪とは、生花や造花を輪の形に組んだものです。
花輪の意味
花輪はお祝いの際や葬儀の際に使われ、喜びや悲しみを表現するという意味合いがあります。
葬儀の際には故人への追悼の意を込めて贈られます。
花輪の特徴
葬儀での花輪は、白黒の生花や造花で作られることが多いです。
近年、特に都市部では場所をとることや、葬儀をつつましく小さく行う傾向があること、景観上の規制などの事情から花輪を飾ることが少なくなっています。
手配方法
花輪も、葬儀社または花屋、花輪専門店に依頼します。
花輪に関しても、受け付けているかどうか、そして飾れるサイズなども場所によって異なるため、葬儀社に依頼する方が確実です。
宗教別の花
ここからは宗教ごとに葬儀で飾られることが多い花の種類をご紹介します。
仏教
仏教の葬儀で使用される花の代表は白菊です。
菊が使われる理由には、邪気を取り払うとされている、長持ちするなどの説があります。
またカーネーション、スプレーマムなどの長持ちする花も選ばれます。
反対に、バラなどの棘を持つ花、ヒガンバナなどの毒を持つ花、ラベンダーなどの香りが強い花は不適切とされています。
キリスト教
キリスト教の葬儀で使用される花の代表はユリ、カーネーションです。
仏教の葬儀で使われる菊はキリスト教で使用されることはほとんどありません。
キリスト教では生花を使用するため、造花や花輪は使わないことが一般的です。
神式
神式の場合には、仏式と大きく変わりません。供花などには白菊がよく使われます。
また神式の場合は献花や焼香のかわりに、玉串奉奠が行われます。
玉串には榊や杉、樫などの常緑樹が使用されるのが一般的です。
まとめ
葬儀で使われる花の種類や特徴についてご紹介しました。
以下がまとめです。
- 葬儀で使う花には「花祭壇」「献花」「枕花」「供花」「花輪」がある
- 基本的に花の手配は葬儀社に依頼するのが確実
- 宗教ごとに相応しい花の種類がある
以上です。
葬儀で花の手配をするときの参考になれば幸いです。