「告別式」とお通夜やお葬式との違いが分からない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では告別式の意味、お通夜やお葬式との違いをご紹介します。
あわせて告別式の流れや喪主が準備すべきこと、服装などのマナーについてもあわせてご紹介しますので、参考にしてみてください。
告別式とは?
告別式とは、名前の通り「別れを告げる儀式」です。
家族や親族だけでなく、友人や知人、ご近所の方、会社関係の方々などが、故人とのお別れの時間を過ごします。
告別式は宗教色のないお別れの場として明治時代に生まれた文化です。
お通夜との違いは?
お通夜とは、家族など親しかった間柄の人が集まり、故人を側で見守ることです。
告別式と異なる点は、行われる時間と参列する人の範囲です。
地域によって例外もありますが、一般的に通夜は火葬の前の晩に行われます。
以前は夜通し、故人の側でろうそくの火を絶やすことなく見守ることが主流でした。
昨今では、1時間から3時間ほどで終わることがほとんどで、半通夜と呼ばれています。
半通夜が主流となったのは、自宅ではなく斎場でお通夜を行うことが多くなり、斎場への宿泊の制限や火のルールなどにより、夜通しろうそくの火を灯しながら付き添うことが難しくなったためです。
また、本来の意味合いからすると、お通夜は家族や親族、親しかった方々のみで行われるものでした。
しかし、現代では18時~19時に始まることが多く、仕事終わりなどにも参列しやすいため、仕事関係の方々なども通夜に参列することが一般的になっています。
お通夜の開式後は参列者が焼香を行い、その後で通夜振る舞いと呼ばれるお料理やお酒を遺族から振舞われます。
お葬式との違いは?
お葬式とは、家族や親族が故人の冥福を祈るための宗教儀式のことです。
仏式のお葬式であればお坊さんによる読経や焼香、神式のお葬式であれば神官による祈祷、キリスト教のお葬式であればお祈りなどを行います。
現代では「葬儀・告別式」と表現され、お葬式の直後に告別式が行われることから、お葬式と告別式との明確な違いがなくなってきています。
お葬式は、遺族が宗教者にお願いをして、故人をこの世からあの世に送り出すという宗教的な意味合いが強いもので、告別式は故人と関係のあったより幅広い方々が故人にお別れを告げるという社会的な意味合いが強いものです。
お通夜と告別式どちらに参列するべき?
参列するのは、お通夜と告別式どちらでも問題ありません。
本来の意味から考えると、お通夜に参列するのは故人と関係性が近かった方のみと思われますが、実際には日中に行われる告別式よりも、夜に行われるお通夜の方が参列しやすいという事情から、お通夜に参列する方も多くなっています。
告別式の流れ
それでは告別式ではどのようなことを行うのか、内容と流れをご紹介します。
お葬式の終了
お坊さんが読経をし、故人に引導を渡したのちに遺族および参列者が焼香をします。
一連の宗教儀式が終わるとお坊さんが退場します。これでお葬式の部分は終了です。
弔電紹介
お送りいただいた弔電の送り主を司会者が紹介し、その一部の内容を読み上げます。
お花入れ
祭壇や供花として飾られたお花をお盆にのせ、遺族や参列者で棺の中にお花を入れていきます。
棺の蓋を閉じる
お花入れが終わったら、棺の蓋を参列者皆さんで手を添えながら閉じます。
蓋を閉じた後に、くぎを打つ地域もあれば、くぎを打つふりとして小石を軽く打つだけの場合もあります。
喪主の挨拶
最後に喪主の挨拶を行います。
参列者に対する感謝の気持ちや、今後の変わらぬお付き合いのお願いの旨を述べるのが一般的です。
閉式の辞
司会者によって告別式の終了を告げる辞が述べられます。
出棺
火葬場に向けて出棺します。
先頭にお坊さん、次に位牌を持った喪主、次に遺影を持った遺族、その次に棺が続き、霊柩車まで移動します。
基本的に棺を持つのは男性です。
告別式で喪主が準備すべきこと
告別式を行うにあたり、喪主が準備するべきことをご紹介します。
受付をする人を決めて依頼する
告別式で受付をしてもらう人を決めて、その方に依頼します。
親族の中からお願いする場合もあれば、故人や喪主と親しかった友人や会社関係者の方にお願いすることもあります。
弔事を読む人と順番を決める
弔事を読んでいただく方や、その順番を決めます。
紹介する弔電とその順番を決める
弔電が複数届いている場合には、その全てを紹介することはできません。
そのため届いている弔電の中から、弔電の内容まで読むもの、送り主の紹介だけにとどめるもの、「その他」として紹介するものに分ける必要があります。
喪主の挨拶内容を考える
喪主の挨拶で話す内容を考えます。
当日はメモなどを見ながら話しても問題ありませんので、紙に書いておくと安心です。
告別式のマナー
告別式に参列する際のマナーを紹介します。
香典
お通夜に参列しなかった場合や、お通夜に香典を持って行かなかった場合には、告別式で香典をお渡しします。
もしお通夜と告別式の両日に参列する場合には、告別式の受付で既に香典をお渡ししている旨を伝えましょう。
香典は袱紗(ふくさ)と呼ばれる布に包んで持参します。
受付では「この度はご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」と一言添えてお渡ししましょう。
服装
告別式では、喪主以外は準喪服または略喪服を着用するのがマナーです。
男性の場合は、黒のスーツ、白いワイシャツ、黒いネクタイ、黒い靴下、黒の革靴を合わせるのが基本です。全て無地のものを選びましょう。
革靴に関しては金具がついていたり、ウィングチップの装飾が付いているものを履いていくのは、マナー違反です。
女性の場合は、黒ワンピースやアンサンブル、黒のストッキング、黒いパンプスなどを合わせるのが基本です。こちらも基本的にすべて無地のものを選びましょう。
女性はアクセサリーを身に付ける場合もありますが、告別式の場においては、結婚指輪、真珠の一連のネックレスやイヤリング以外のものは避けるのが無難です。
遺族への挨拶
告別式の場で、遺族へ挨拶する際にはできるだけ手短に、あまり長話をしすぎないように注意しましょう。
遺族は他の参列者に対しても挨拶などをする必要があり、告別式の間はとても忙しいです。そのためあまりに長話をして引き止るのは迷惑になりかねません。
会話の中で、故人の死因を尋ねるようなこともマナー違反です。
また告別式という厳粛な場なので、大きな声は避け、控えめの声量を心掛けましょう。
告別式に参列できない場合
告別式に参列できない場合には、お通夜に参列する、または弔電やお供え物をお送りすることで弔意を示します。
お供え物は、枕花や供花などのお花、果物や缶詰の盛籠などを選びましょう。
参列ができないことが分かった時点で遺族または施行を担当する葬儀社に連絡し、お供え物を送ってもいいかを確認して、葬儀社に手配を依頼します。
また、香典を郵送で送るという方法もあります。
香典を郵送する場合には、手紙を添え、必ず現金書留を用いて送りましょう。
代理の方に香典を持って行ってもらってもマナー違反にはなりません。
代理の人は必ずしも故人と喪主と知り合いでなくても、問題はないとされています。
告別式に参列できなかった場合でも、後日ご自宅などに弔問に訪れるといいでしょう。
まとめ
ここまで、告別式についてお通夜やお葬式との違い、告別式のマナーなどについて紹介しました。
まとめると次の通りです。
- 告別式とは故人にお別れを告げる儀式のこと
- お葬式は故人の冥福を祈る宗教的儀式なのに対して、告別式は故人へのお別れをする社会的儀式である
- 喪主は告別式にあたって、受付の依頼、弔事や弔電の整理、喪主の挨拶の内容を考えておくなどの準備が必要
- 告別式に参列する際には、服装や声掛けのマナーを守る
- 告別式に参列できない場合には、弔電やお供え、香典をお送りして弔意を示す
告別式について流れやマナーを把握しておき、しっかりと故人にお別れを告げられるようにしましょう。