浄土真宗(じょうどしんしゅう)は、日本の仏教宗派の中でも最も多くの門徒数を持つ宗派です。大阪市・堺市においても浄土真宗の寺院は非常に多く、地域に深く根付いた宗派として現在まで受け継がれてきました。
葬儀や法要の考え方、作法が他宗派と大きく異なる点も多いため、寺院紹介ページをご覧になる際には、浄土真宗の基本的な考え方をあらかじめ理解しておくことが重要です。
この記事では、大阪市と堺市に多い、真宗大谷派と本願寺派について主に解説します。
| 総本山 | 真宗大谷派(お東):東本願寺(真宗本廟) 本願寺派(お西):西本願寺(龍谷山 本願寺) |
|---|---|
| 開祖 | 親鸞聖人 |
| 焼香のあげ方 | 真宗大谷派:1本を2回(2回目に香をくべる) 本願寺派:1回(1回目に香をくべる) |
| 線香の本数 | 1本の線香を2つか3つに折り寝かせる |
| 葬儀の考え方 | 亡くなるとすぐに阿弥陀如来のもとへ往生する |
※作法は寺院や地域により異なる場合があります。式の進行は寺院・葬儀担当者の案内に従ってください。
宗派や作法が分からない場合でも、お気軽にご相談ください。
浄土真宗の成り立ちと開祖・親鸞聖人
浄土真宗の教えを理解するうえでは、まずその成り立ちと開祖である親鸞聖人の歩みを知ることが欠かせません。親鸞が生きた時代背景や思想は、現在の浄土真宗の考え方に大きな影響を与えています。
浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞聖人によって開かれた仏教宗派です。親鸞は、当時の仏教の中心地であった比叡山で厳しい修行を重ねていましたが、自らの修行によって悟りを得ることの難しさに深く悩んでいました。
その中で親鸞がたどり着いたのが、「阿弥陀如来の本願を信じることで、すべての人が救われる」という教えです。修行や戒律を十分に守ることができない人であっても、阿弥陀如来のはたらきによって救われるという考え方は、当時としては非常に革新的なものでした。
この教えは、僧侶や貴族だけでなく、農民や商人など一般の人々にも広く受け入れられました。とくに商業都市として発展してきた大阪や堺では、浄土真宗の教えが人々の生活や価値観と結びつきながら広がっていったとされています。
浄土真宗の教えの特徴
浄土真宗の教えには、他の仏教宗派とは異なる特徴的な考え方があります。ここでは、浄土真宗を理解するうえで特に重要な二つのポイントについて解説します。
阿弥陀如来の本願を信じる「他力本願」
浄土真宗の根本思想として知られているのが、「他力本願」という考え方です。他力本願とは、自らの努力や修行によって悟りを得ようとするのではなく、阿弥陀如来の本願の力に身をゆだねることを意味します。
人は誰しも煩悩を抱え、完全に正しく生きることはできません。浄土真宗では、そのような不完全な存在であっても、阿弥陀如来は分け隔てなく救いの手を差し伸べていると説きます。この考え方が、幅広い層に支持されてきた理由のひとつです。
念仏は修行ではなく感謝のあらわれ
「南無阿弥陀仏」と称える念仏は、浄土真宗では修行や功徳を積むための行為ではありません。すでに阿弥陀如来によって救われていることへの感謝の気持ちを表すものとされています。
そのため、念仏の回数や形式にこだわる必要はなく、日常生活の中で自然に称えることが大切だと考えられています。この点は、同じ浄土系宗派である浄土宗などと混同されやすいため、正しく理解しておくことが重要です。
浄土真宗と他宗派との違い
浄土真宗は、他の仏教宗派と比較すると、考え方や価値観に明確な違いがあります。ここでは、代表的な宗派との違いを通じて、浄土真宗の特徴を整理します。
たとえば、禅宗や真言宗では、坐禅や修行を通じて悟りを目指すことが重視されます。一方、浄土真宗では修行による悟りを目的とせず、阿弥陀如来の救いを信じることが中心となります。
また、同じ浄土系宗派である浄土宗では、念仏を修行の一つとして位置づけていますが、浄土真宗では感謝の念仏と考えます。こうした思想の違いは、葬儀や法要の意味づけにも影響し、浄土真宗独自の作法や表現につながっています。
浄土真宗の葬儀・法要の考え方
浄土真宗では、葬儀や法要の意味づけが他宗派と大きく異なります。ここでは、浄土真宗における供養の考え方や、よく誤解されやすい点について解説します。
「成仏」ではなく「往生」という考え方
浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに阿弥陀如来のもとへ往生すると考えられています。そのため、「成仏する」「冥福を祈る」といった表現は、本来の教えには沿わないとされています。
葬儀は、故人を成仏させるための儀式ではなく、仏の教えに触れ、残された人が自身の生き方を見つめ直す場として位置づけられています。
戒名ではなく「法名」
浄土真宗では、他宗派で用いられる戒名ではなく「法名」が授けられます。法名は、仏弟子として名乗る名前であり、位や階級を表すものではありません。
そのため、法名に院号や位号が付かない場合も多く、これを知らずに戸惑われる方も少なくありません。
位牌を用いないことが多い理由
浄土真宗では、亡くなった方はすでに阿弥陀如来のもとに往生していると考えるため、霊をこの世に留めるという発想がありません。そのため、位牌を用いない寺院が多いのも特徴です。
ただし、地域や寺院の考え方によって対応が異なる場合もあるため、事前に確認することが大切です。
葬儀後の位牌作成について
浄土真宗では、亡くなった方はすぐに阿弥陀如来のもとへ往生すると考えるため、霊をこの世に留めるという発想は基本的に重視されません。そのため、他宗派のように位牌を必ず作るという考え方ではなく、位牌を用いない寺院も多く見られます。
一方で、地域の慣習やご家庭の事情により、位牌を作成して手元でお祀りするケースもあります。浄土真宗では、位牌の代わりに過去帳を用いる考え方も一般的です。
位牌に用いられる梵字について
浄土真宗では、位牌に梵字を用いないのが一般的です。特定の仏や菩薩を象徴する梵字によって故人を表すという考え方を重視しないため、戒名(法名)や俗名のみを記す形式が多く見られます。
※位牌や過去帳の扱いは寺院の方針に従うのが基本です。
大阪市・堺市と浄土真宗の深い関わり
大阪市や堺市は、古くから商業や自治の文化が発展してきた地域です。浄土真宗の「すべての人が等しく救われる」という教えは、こうした地域性と非常に相性が良く、多くの支持を集めてきました。
現在でも、大阪市内・堺市内には数多くの浄土真宗寺院が存在し、地域に根差した活動を続けています。寺院紹介ページでは、こうした背景も踏まえてご覧いただくと、より理解が深まります。
浄土真宗の寺院を選ぶ際のポイント
大阪市・堺市で浄土真宗の寺院を探す際には、宗派名だけでなく、いくつかの実務的なポイントを確認しておくと安心です。
具体的には、本願寺派・大谷派などの派閥、葬儀や法要への対応可否、檀家制度の有無、永代供養や納骨堂の取り扱いなどが挙げられます。
同じ浄土真宗でも、寺院ごとに方針や対応が異なるため、事前に情報を整理しておくことが重要です。
まとめ|宗派や作法が分からない場合もお気軽にご相談ください
浄土真宗は、大阪市・堺市において長い歴史を持ち、現在も多くの人々に信仰されている仏教宗派です。一方で、葬儀や供養の考え方が他宗派と異なるため、戸惑われる方が多いのも事実です。
故人の宗派が分からない、浄土真宗かどうか判断できない、各宗派の作法の違いが分からず不安といった場合でも、無理にご自身で判断する必要はありません。
大阪市民葬センターでは、大阪市内・堺市内の寺院情報をもとに、状況に応じたご相談を承っています。宗派や寺院選び、葬儀に関する不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

