「お葬式の費用って高そうだけど、実際どのくらいあればいいんだろう」
「見積もりをもらった(もらう予定)だけど、内訳がよく分からない」
人生にそう何度もないお葬式。費用に関する不安を抱える人が多いです。
費用についてよく知らないままでいると、相場よりはるかに高い金額を請求されたり、不要なオプションをいつのまに追加されていたりと、思わぬ大きな出費になりかねません。
そんな思わぬ出費を防ぐために、ここではお葬式による費用の相場や、その内訳を分かりやすく解説します。
お葬式の費用相場はどのくらい?
お葬式費用の全国平均は195万円です。(2017年日本消費者協会が実施したアンケート調査より)
この195万円の中には、お葬式で必要となる様々な項目が含まれています。
その内訳を知っておくことで、必要のない費用、必要な費用の判断ができるため、納得いく費用でお葬式を行えます。
それでは、費用の内訳を解説します。
お葬式の費用の内訳は?
お葬式の費用は大きく4項目に分けられます。それぞれ解説をします。
葬儀一式費用
「葬儀一式費用」とは、お葬式を行うのに最低でも必要な費用です。
祭壇、棺、故人の搬送にかかる費用、葬儀社のスタッフの人件費、など基本的に必要になる費用で、葬儀社によって「葬儀基本費用」や「葬儀本体費用」、「葬儀基本プラン」などと呼ぶこともあります。
施設使用料・火葬料
「施設使用料・火葬料」はその名の通り、お葬式を行う施設を使用するため、火葬をするために必要な費用です。
お葬式を行うため、斎場やお寺などの施設を使用した場合には、その施設の使用料がかかります。
自宅でお葬式を行う、そもそもお葬式を行わずに、火葬のみで済ませる場合には必要のない項目です。
使用する施設によって使用料は大きく異なります。
火葬料は必須項目です。
日本ではほぼ必ず火葬を行います。
(法律で火葬以外が禁じられているわけではありません。しかし現実的にお墓や霊園に入るために火葬が義務付けられていることが多いです。)
火葬料は、故人や喪主の住民登録がある市区町村によって費用が大きく異なります。
東京都内でも無料のところもあれば78,000円するところまで。
火葬場に直接支払う場合には、葬儀社の見積もりには含まれていない可能性があるので注意してください。
おもてなし費用
「おもてなし費用」とは、お通夜後の通夜ぶるまいや、精進落としなどの飲食費と、香典返しや返礼品などの費用です。
葬儀社によって「飲食接待費」とも呼ばれます。
おもてなし費用は、参列者の人数により変わる項目です。
そのため事前に見積もりを出していても、予想以上に参列者が多かった場合には、追加費用となることも。
家族だけでお葬式をする場合には、香典返しや返礼品が必要なく、家族分の食事代のみです。
食事もしない場合には、この項目は一切かかりません。実際にコロナ禍で食事をしない選択をする人も多くいました。
必要かどうかは、他の家族とよく話し合いましょう。
宗教費用
宗教費用とは、お坊さんなどの宗教者にお礼として支払う費用です。仏教の場合は「お布施」と呼ばれます。
お経を読んでもらったり、戒名を付けてもらったりすることへの感謝として支払います。
原則、葬儀社ではなく宗教者に直接支払うので葬儀社の見積もりには入っていないことがほとんど。
宗教・宗派や、その宗教者との付き合いの深さや、格式によって費用は大きく異なります。
お寺との付き合いが薄く、相場が分からない際には、直接宗教者に尋ねても問題ありません。
追加費用になりやすい項目
葬儀社から事前に見積もりをもらったとしても、必ずしも請求金額が全く同じになるとは限りません。
どんな費用が追加になりえるのかを事前に把握しておけば安心です。
おもてなし費用
先ほども紹介をした「おもてなし費用」。
実際の参列者の人数によって、費用が変わります。見積もり時に想定していた人数より多くの人が参列にいらした場合には、追加費用となります。
参列者を呼ばない「家族葬」であれば見積もり時に、来る人数が確定しているので、その心配がありません。
安置料・ドライアイス代
亡くなってからお葬式までの間、故人を安置しておくための安置料、腐敗を防ぐためのドライアイス代は、葬儀までの日程が長くなってしまった場合、追加になる可能性があります。
葬儀社によって、葬儀一式費用の中に数日分までは入っていたり、何日追加になっても無料だったりとそれぞれです。
追加になる場合に1日1万円前後が相場です。
故人の搬送代
故人がもし遠方で亡くなってしまったり、自宅で安置してから他の安置場所に移動したりと、移動の距離や回数が増えると、その分が追加費用となる可能性があります。
オプション・グレードアップ
故人を棺に納める前にお風呂に入れてあげる湯灌などのオプションを追加したり、祭壇のお花の量を増やしたり、棺を布張りや彫刻のあるものにしたりとグレードアップをすると、追加費用となります。
【形式別】お葬式の費用相場は?
費用の内訳が分かったところで、お葬式の形式ごとの相場を見ていきましょう。
形式ごとに内訳に出てきた項目のなかから必要なもの、不必要なものが変わるので費用が変動します。
家族葬の費用相場
家族葬の費用相場は約80~120万円ほどです。
家族葬とは、近い家族や親しい親族や知人のみで行うお葬式。参列者が比較的少ないのが特徴です。
そのため「おもてなし費用」があまりかかりません。家族だけであれば返礼品や香典返しは必要ありませんし、飲食代も参列する家族分だけで済みます。
飲食もなしであれば、費用はもっと下がります。
一日葬の費用相場
一日葬の費用相場は約40~60万円ほどです。
一日葬とはお通夜を行わずに、告別式と火葬のみを行う葬儀形式。お通夜を行わないため、お通夜後の料理の費用を抑えることができます。
また司会スタッフや案内スタッフの人件費なども一日分のため、葬儀社によっては葬儀一式費用が安く設定されています。
お通夜での読経がないことから、宗教費用も抑えられる可能性もあります。
直葬・火葬式の費用相場
直葬・火葬式の費用相場は約20~40万円ほどです。
直葬・火葬式とは、お通夜や告別式のような儀式的なことは行わずに、火葬のみを行う葬儀形式。
儀式を行わないため、祭壇費用や施設使用料、おもてなし費用などが掛かりません。
人件費についても、運営スタッフのみのため基本的に葬儀一式費用がかなり抑えて設定されています。
また火葬炉の前でお坊さんにお経を読んでもらうこともできます。炉前読経と呼ばれるものです。
炉前読経も必要がなければ、宗教者にかかる費用も必要ありません。
故人や喪主の住民登録地によって大きく変わる火葬料次第で、総額に数万円の違いが出てきます。
一般葬の平均費用
一般葬の費用相場は100~200万円ほどと、人数や規模によって大きな開きがあります。
一般葬は、家族や親族以外にも、生前お世話になった友人・知人、近所の方や会社関係の方も広く参列者を呼ぶ葬儀形式です。
参列者を呼ぶため、飲食や香典返し、返礼品の「おもてなし費用」が大きくかかります。
しかし参列者からの香典があるため、実質的な費用負担は軽減されうるということは覚えておきましょう。
費用の抑え方
ここまでお葬式の費用相場を紹介してきました。
「結構高いな……」そう思った方も多いのではないでしょうか。
そこで、少しでも費用を抑える方法を紹介します。
直葬・火葬式にする
これが一番、費用を抑えられる方法です。
とにかく火葬するだけ、であれば火葬料にもよりますが10万円台で収まることもあります。
公営の施設を利用する
費用を抑えたいけど、お葬式はちゃんとやりたい、という場合には公営斎場の使用をオススメします。
故人、または喪主の住民登録地である自治体が運営する斎場や火葬場を利用すれば、住民料金として比較的低価格で使用することができます。
各種補助金や扶助制度を利用する
国民健康保険や社会保険に加入している場合、葬儀から2年以内に申請をすることで1~5万円の扶助を受けることができます。
また自治体によって、その他のお葬式に関する扶助制度を設けているところもあるので、故人や喪主の住民登録のある自治体の制度を調べてみましょう。
まとめ
お葬式にかかる費用の相場は、葬儀形式や参列する人数や、宗教者の有無によって大きく異なります。
しかしその内訳をある程度知っておけば、自身が検討しているお葬式に必要なものなのか不必要なものなのかが判断可能です。
「何も知らないまま、費用がかさんでしまった」
そんなことにならないよう、事前に自身が検討している葬儀形式や人数などを葬儀社に伝え見積もりをもらい、納得のいくまで説明を受けることをオススメします。