お葬式の準備にあたって、最初に行うべきことは、「喪主」と「施主」の決定です。
一般的に、喪主と施主は配偶者によって兼務されています。
配偶者がいると、子供はなれないの?
長男や長女ではなく、次男や次女がなれるの?
家族以外がなれるの?
誰が喪主や施主を務めるべきか、気になりますよね。
一言で表すなら、喪主は『遺族の代表者』、施主は『金銭を精算する人』。
具体的にお葬式ですることまで、詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。
お葬式とは、参加した人の記憶に残り続ける行事。
失敗や後悔をしないためにも、親戚や参列者の満足度を高めるためにも、最適な喪主と施主の選出は不可欠です。
ここでは、喪主と施主の違いについて、担当の決め方や役割、お葬式ですることを解説しています。
喪主と施主との違いとは?
喪主とは?
喪主は、遺族の代表者であり、お葬式を司る役割を担っています。
葬儀社は短期間で手際よく計画を立てて必要品を準備する必要があるため、窓口役の喪主と打ち合せを行います。
喪主は、日程や宗旨宗派やプラン内容をはじめ、親族や参列者の人数、食事の種類や数量、車の種類や台数など、葬儀社から質問される様々な項目に対して、回答を行わなければなりません。
つまり喪主とは、お葬式にあたって、判断や決定における裁量を持ち合わせている主宰者のことをいいます。
施主とは?
施主とは、「お布施をする主」を表し、お葬式の費用やお布施の支払いが主な務めとなります。
一方で、お布施や供花などの品目は個人的な信仰上の要素を伴うため、負担金額の内訳はあらかじめ喪主と協議したり、お葬式では喪主のサポートを行ったりと、幅広い役割を担います。
喪主と施主は1名ずつ必要なの?
喪主と施主は、それぞれ1名ずつとは限りません。
ご家庭の多くのお葬式では、故人の配偶者が喪主と施主を兼務しています。
言い換えると、葬儀社や寺院などの窓口は配偶者が務めるとともに、お葬式の費用やお布施の支払いも配偶者が行うことが一般的です。
しかし、慌ただしいお葬式で喪主・施主を兼務することは大変なので、遺族や親族がサポートするケースが多いです。
喪主は誰がするの?喪主を決める5つの方法
喪主を故人の遺志を優先して決める方法
お葬式は、故人を弔うための儀式です。
そのため、遺言やエンディングノートなどによって喪主が指名されている場合は、故人の希望を優先することが理想的であるといえます。
喪主を遺族や血縁者から決める一般的な方法
前述のとおり、喪主は一般的に配偶者が務めます。
しかし、故人が独身の場合や、配偶者が高齢や病気などで喪主を務めることが困難な場合は、次のように、故人と関係の深い血縁者の順位で決めることが多いです。
【喪主を務める優先順位】
1位 配偶者
2位 子供(長男→次男以下の直系兄弟順→長女→次女以下の直系姉妹順)
3位 故人の両親
4位 故人の兄弟姉妹
5位 その他の親族
喪主を故人の近親者から決める方法
生前に同居をして生活を支えたり、献身的な介護をしたり、故人に最も寄り添った方がいる場合は、その実質的な近親者が喪主を務めるのも一理です。
たとえば、長男がいる家系であっても、喪主は次男や長女が喪主を務めても問題ありません。
喪主を複数名で務める方法
喪主は、複数名で務めても問題ありません。
配偶者が高齢の場合は長男と、配偶者が若い方の場合は故人にとって直系の親と、また兄弟姉妹で務めるなど、故人の立場や家庭事情により、共同喪主を行うケースは様々あります。
しかし、その場合、お葬式に対する意見が分かれて揉め事が起こることがないようにご注意ください。
喪主に親族がいない場合の対処方法
喪主に配偶者や血縁者がいない場合、故人の世話人や友人・知人が喪主を務めることがあります。
たとえば、故人が介護施設や老人ホームに入所していた場合、施設の代表者が世話人代表となります。
その他、趣味や団体活動などを行っていた場合は友人代表として、友人・知人が喪主相応の役割を務めることがあります。
また、候補者が定まらない場合は、葬儀社が代理を行う場合もあります。
お葬式で施主が必要となる場合とは?
喪主が高齢者や身体が不自由の場合
喪主が高齢者や身体が不自由な方の場合、故人の子供など、別の人が施主を務めることがあります。
この際、お葬式の費用やお布施など、お金の出費に関わることのみならず、施主は喪主のサポート役を果たします。
喪主が未成年の場合
昔は故人が亡くなると、家主となる長男が喪主を務めることが一般的でしたが、現代でも未成年が喪主を務めるケースがあります。
その場合、故人の配偶者や親族が施主を務め、金銭の精算や、お葬式でのサポートを行います。
社葬・団体葬の場合
社葬や団体葬とは、経営者や団長、功績を掲げた従業員や所属スタッフのために、会社や団体が営むお葬式です。
これらのお葬式では、喪主は遺族、施主は葬儀委員長として会社や団体の代表者が担うことが一般的です。
喪主や施主の役割の違いとお葬式ですること
喪主の役割とお葬式ですること
喪主には、お葬式全般を取り仕切る役割があります。
ご遺族の立場では、故人の逝去や搬送から始まり、慌ただしさや不安が募るため、お葬式の準備にあたってはご家族や親族に相談をしたり、手伝ってもらったり、周囲の支援を得ることが一般的です。
▼お葬式の準備
- 葬儀社及び施主との打ち合わせ(日程・宗旨宗派・内容や流れ・人数・祭壇・車輌・料理などの詳細決定)
- 寺院への連絡(日程調整・戒名依頼)
- 参列者への連絡
- 弔電客の応対
- 挨拶文の作成
▼お葬式ですること
- 参列者への応対
- 遺族代表の挨拶(通夜・出棺・精進落とし)
お葬式後は、四十九日法要に向けて、位牌や仏壇、納骨に向けてお墓の準備を行います。
施主の役割とお葬式ですること
施主には、お葬式に関わるお金の管理を行う役割があります。
また、喪主のサポートを行うことも多く、社葬や団体葬など、お葬式の規模によっては会社の従業員や団体加盟者も支援するように呼び掛けます。
▼お葬式の準備
- 葬儀社及び喪主との打ち合わせ(日程・宗旨宗派・内容や流れ・人数・祭壇・車輌・料理などの詳細決定)
- 供花や供物の取りまとめ(礼状作成のための提供者確認)
▼お葬式ですること
- お布施の支払い
- 香典の受け取り
- 喪主のサポート(主に接客応対や代表挨拶)
- お葬式費用の支払い(葬儀費用・火葬代・料理代・供花代など)
お葬式後は、四十九日法要の準備や、香典返しの手配、供花・供物・弔電などへの礼状送付を行います。
なお、自治体によって条件は異なりますが、お葬式を執り行った故人が国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入されていた場合、申請によって3万円から7万円程度の葬祭費が支給されるため、手続きを行うことをお勧めします。
喪主と施主の違いとは?喪主や施主の決め方と役割【まとめ】
旧民法による遺産相続(明治31年7月16日から昭和22年5月2日まで)では、家主が亡くなった場合、長男が全ての遺産を継承することが定められていたため、喪主は長男の役割とされていました。
しかし、現在は配偶者が喪主を務めることが多いように、誰がするべきという特定の決まりはありません。
施主においても同様です。
少子高齢化などの社会的な背景や価値観の変化に伴って、お葬式の在り方は変化しています。
むしろ現代においては、喪主や施主に委ねるのではなく、ご遺族の皆様が協力し合い、故人や親族をはじめ、参列いただく皆様が納得し、満足のできるお別れの場を創造することが、正しいお葬式の在り方といえるでしょう。
つまり、故人に寄り添い、ご家族の意向を尊重できる方が喪主にふさわしいということです。
後悔しないお葬式を執り行えるよう、どうぞご参考になってください。