葬儀の祭壇

昨今増えている葬儀形式の1つである「家族葬」

「家族葬プラン」という名のパッケージプランが増え、メディアでも取り上げられているため「もしもの時はうちも家族葬」と検討している方が少なくありません。

しかし家族葬は、一般的な葬儀と勝手の違うことが多いため、しっかりと理解をしておかないと後悔することも。

たった一度きりのお葬式で後悔するようなことがないよう、家族葬の種類やメリットデメリット、また「どこまで声をかけるべきか?」という参列基準についても解説します。

 

家族葬とは?

お葬式

家族葬とは、家族や親族、ごく親しい友人や知人で小規模に行う葬儀のことです。

反対に、近所の方や仕事関係など生前関わりのあった方々も広く参列する葬儀を一般葬と呼びます。

家族葬は、名前に「家族」と入っていますが、家族以外の親しかった方を呼ぶこともあります。

「○○人~○○人までの葬儀」という明確な定義はありません。

そして家族葬の中でも、葬儀の流れによって種類があり、見積もりをもらう際には、どれにするのかを決めておかなければなりません。

大きく3種類に分かれます。

 

直葬・火葬式

直葬・火葬式とは、亡くなった場所、または亡くなってから安置した場所から火葬場に直行をし、そのまま荼毘にふす形式のことです。

基本的には祭壇を飾ったりすることはなく、儀式的なことを行いません。

火葬炉の前で炉前読経という形でお坊さんにお経を呼んでもらうことはできますが、その時間もかなり限られます。

家族5人程度までで行うことがほとんどです。

 

一日葬

一日葬とは、通夜を行わなずに1日で葬儀を終わらせる形式のことです。

直葬・火葬式では少し寂しいけれども、費用的・時間的な負担を抑えたいという方によく選ばれています。

 

二日葬

二日葬とは従来の形式通り、通夜、葬儀・告別式、火葬を2日間にかけて行う形式のことです。

二日葬を家族だけで行う場合には、かなりゆっくりとお別れの時間をとることができます。

また仏教で通夜の意味合いを重視している場合などには、二日葬を行います。

3種類の家族葬を紹介しました。

どの形式かによって時間などが大きく変わってくるため、見積もりをもらう際には明確にしておきましょう。

 

家族葬のメリット

計算機と数珠

昨今増えている家族葬ですが、それには理由があります。

その理由となる家族葬のメリットを4つ紹介します。

 

自由な葬儀ができる

家族葬は家族や親族・親戚、親しい関係性の方々だけで行う葬儀。

そのため対外的な体裁にとらわれる必要がなく、故人や遺族の意向を反映した自由な葬儀を行うことができます。

一般葬では、仕事関係の方々もいらっしゃる可能性もあり、どうしてもキチンと体裁を整えておかなければならないもの。

しかし家族葬であれば、ただ棺を囲んで思い出話をするだけ、故人が好きだった音楽をみんなで演奏する、などでも大丈夫です。

故人や遺族の意向を強く反映することができます。

 

参列者に気を遣う必要がない

一般葬では、参列者への挨拶・気遣いが必須です。遺族、特に喪主は参列者への対応で大忙し。

心身共に疲れてしまい、ゆっくりと故人を想う余裕がなくなってしまいがちです。

しかし家族葬であれば、親しい関係性の方々ばかりなのでその心配はありません。

精神的にも時間的にも余裕ができ、ゆっくりと故人を想い、偲ぶことができます。

 

費用や時間的な負担が少ない

家族葬は小規模になることが多いため、参列者に振舞う料理や返礼品などの費用の負担が少なくなります。

また小規模な葬儀に合う小さな式場であれば、もちろん大きな式場よりも使用料が安くなることが多いため、式場使用料などの負担も比較的少なく済みます。

また一般葬では、参列者への挨拶などで喪主、遺族は時間的に拘束されがちです。

家族葬であれば、その必要がないため長時間拘束されることはありません。

また直葬・火葬式、一日葬の場合にはもっと時間的な負担は少なくなります。

 

葬儀の準備の負担が少ない

一般葬の場合には、参列者に対して失礼のないようにしっかりと準備をする必要があります。

段取りを決めたり、料理や返礼品の内容を決めたりと、事前準備に頭や時間をしっかりと割かなければなりません。

故人と生前かかわりのあった方々へ連絡したり、参列人数についての調整を行う必要もあり、大切な人の死後というなかでも、やらなければならないことがたくさんあります。

家族葬であれば、しっかりと準備を整える必要もなく、参列人数も限られているため事前準備にそこまでの負担がかかりません。

 

家族葬のデメリット

香典

メリットも多い家族葬ですがもちろん注意すべきデメリットも。

デメリットを知らずして選ぶと後悔する可能性があるので、しっかり把握しておきましょう。

ここでは3つ紹介します。

 

親族とのトラブルの可能性

「遠い親族だから」と葬儀に呼ばずに、終わってから死去されたこと、家族だけで葬儀を済ませたことを連絡した場合「なんで連絡してくれなかったの」とトラブルになる可能性があります。

また親族を呼んだ場合でも、親族の中に、葬儀の伝統的な風習や考え方を重視する方がいる場合もトラブルになります。特に直葬・火葬式、一日葬にした場合などには宗教的な面も関わってくるため、理解をしてくれない親族がいる可能性も。

葬儀の内容を決める権利は喪主にありますが、できるだけトラブルにならないよう、事前に相談をしておいた方が宜しいかと思います。

 

葬儀前後の弔問対応に追われることも

本当に故人に身寄りや知り合いがいなかった場合を除くと「家族葬だから葬儀に参列はしないけれども、どうしても故人を弔いたい」と思う方は一定数いるはずです。

そのような方々が葬儀前に安置場所での面会を希望される場合もあれば、葬儀後に弔問にいらっしゃる可能性はかなり高くなります。

一般葬にすれば1日または2日間で済む弔問客への対応を、家族葬にすることで別々のタイミングでさらに数日間に渡りって行わなければなりません。

葬儀前後の忙しいタイミングのため、その負担は心身ともにかなり大きなもの。

そのため、故人の顔が広かった場合には家族葬はおすすめできません。

 

香典で葬儀費用を補うことができない

一般葬であれば費用は大きくなる分香典も頂けるため、実質の負担額は概ね半分から3分の2程度になります。

しかし家族葬の場合、香典を頂けないため、葬儀費用がまるまる実質の負担額となってしまいます。

 

どこまで呼ぶべき?参列基準は?

参列基準

家族葬で多くの人が悩むのが「どこまで呼ぶべきなのか?」という疑問です。

家族葬に明確な定義がない以上「これが正解」というものは存在しないため、各状況によって判断をしなければなりません。

そこで判断軸を大きく3つ紹介します。

 

葬儀の規模で判断する

希望している形式や予算から、葬儀の規模・人数を決めて、それに合わせた範囲でお呼びします。

例えば、直葬・火葬式と決めたのであれば、だいたい5人程度になるので同居家族、または親子・兄弟・姉妹のみとなります。

予算的に15名ほどまで、ということであれば概ね3親等まで、30人ほどであれば3親等+親しかった親族や友人知人まで、という判断ができます。

 

故人の希望や生前の関係性で判断する

同居家族、親子・兄弟・姉妹以外は、故人が生前会いたがっていた人や、生前深い付き合いのあった方のみにするという判断の仕方をする人も多くいます。

特に故人が生前に、エンディングノートや遺言などで「この人には連絡してほしい」などと書いてあった場合には最大限尊重するべきでしょう。

 

今後の付き合いを鑑みる

特に親戚関係は、今後も付き合いが続く可能性が高いため、葬儀に呼ばなかったことによるトラブルや、ちょっとしたわだかまり、相手への不快感などは避けておくべきです。

それ以外にも、葬儀に呼ばなかったことにより、今後の関係性に影響がありそうな方は声掛けをしておくことをオススメします。

 

家族葬はこんな人におすすめ

小菊

家族葬について種類やメリットデメリット、参列基準について紹介しました。

以上のことを鑑みると、家族葬は以下のような方におすすめです。

  • 故人が高齢などの理由で、関係の深い方が少ない
  • 家族だけでゆっくりと故人を見送りたい
  • 費用をできるだけ抑えたい
  • 故人や遺族の希望を最大限反映した自由な葬儀を行いたい

反対に、故人に友人や知人が多い場合には家族葬はおすすめできません。

家族葬のメリットデメリットを把握したうえで、故人の希望や生前の周りの方々との関係性などを鑑み、家族葬にすべきかどうかを検討しましょう。