最近よく耳にする「直葬」何かご存知でしょうか?
近年では時代の変化に伴い、葬儀形態も変化しつつあります。
最期のお別れの場であるお葬式をご遺族・故人の方それぞれが納得する形で行いたいですよね。
葬儀といえば、通夜翌日に葬儀・告別式そして火葬を行うのが一般的です。
しかし「直葬」という、通夜や葬儀・告別式を行わない葬儀形式を選択する人が増加してきました。
ここでは直葬の流れ、メリットやデメリットをご紹介していきます。
直葬とは?
直葬とは、通夜や葬儀・告別式といった儀式的なことは行わずに「火葬だけ」を行う形式のことです。
一般的な葬儀でイメージされる、祭壇を飾ったり、焼香をするなどということは行われません。
そして基本的には参列者を呼ばず、家族5名程度で行います。
費用、時間、身体的にも遺族にとって最も負担の少ない葬儀形式です。
直葬の流れ
まず亡くなったら、自宅か安置施設に安置をします。
よく「亡くなった場所からすぐに火葬場に行って荼毘にふす」と勘違いする方も多いのですが、基本的に亡くなった場所からすぐに火葬場に向かうことはありません。
亡くなってから24時間たたないと火葬ができないと法律で決められているためです。
また首都圏では火葬場が混みあっているため、3日~1週間程度安置が必要なことがほとんどです。
そして火葬当日に自宅または安置場所から火葬場に移動します。
火葬場につくと、基本的にはすぐに火葬を行いますが、希望があれば火葬炉の前で「炉前読経」という形でお坊さんにお経をあげてもらうことも可能です。
棺の蓋を開けて最後のお別れもできます。しかし時間は5~15分程度です。
そして火葬中には精進料理を食べる場合、ロビーや喫茶コーナー、車内などで待つ場合に分かれます。
かかる時間は約1時間ほどです。
そして火葬が終了したら、拾骨です。長い箸を用いて二人一組で遺骨を拾い、骨壺内に遺骨を納めます。
拾骨が終わったら、直葬は終了です。
概ね当日は全部で2時間~3時間ほどで終了します。
密葬との違いは?
直葬と似た言葉で「密葬」という言葉があります。
言葉は似ていますが、意味は少し違うので注意しておきましょう。
火葬を行い、基本的にそれで終了する直葬に対し、密葬は、後から大規模な葬儀やお別れ会、社葬などを行う前提で、事前に家族だけで葬儀を行うことを言います。
有名人の訃報のニュースなどで「家族での密葬は既に行われたようです」などと報道されていれば、この後お別れ会などが行われる可能性があるということです。
直葬のメリット
基本的に直葬は「負担が少ない」というメリットが大きいです。
どんな負担が少ないのか、大きく3つ紹介します。
費用の負担が少ない
まずは「費用」の負担が少ないことです。
直葬では、祭壇を飾ったり式場を借りたりしないため、費用を大幅に抑えることができます。
また直葬の場合、比較的早い時間帯の火葬炉が空いていて、火葬までの安置の日数が少なくなる傾向にあります。
そのため、安置にかかる安置室の使用料やドライアイス代も少なくなります。
時間的な負担が少ない
2つ目は「時間」の負担が少ないことです。
通常通り、通夜・葬儀を行うと2日間、通夜を行わない「一日葬」の場合も半日以上は時間がかかります。
しかし直葬の場合は、かかる時間は2時間から長くても3時間ほど。
半日もかかりません。
集まる家族の仕事などが忙しい場合でも安心です。
身体的・精神的な負担も少ない
最後は「身体的・精神的」な負担が少ないことです。
一般的な葬儀を行う場合、遺族は参列者に失礼がないよう、挨拶をしたり、気を遣う必要があります。
しかし直葬の場合には、時間が短いことから、身体的に疲れにくいことはもちろんのこと、参列者への挨拶や気を遣う必要がないことから精神的にも負担が少ないです。
参列者へ気を配らずに、故人とのお別れのことだけを考えることができます。
直葬のデメリット
直葬には「費用」「時間」「身体的・精神的」に負担が少ないというメリットがある一方で、デメリットもあります。
親族の理解が必要
伝統的な慣習を重んじる親族がいる場合、「通夜や葬儀を行わない」ということに難色を示される可能性もあります。
また直葬の場合には、遠い親族は参列しないことが一般的。直葬を行ってしまってから報告をするということもあります。
その際に「どうして言ってくれなかったんだ」とトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。
最終決定をするのは喪主ですが、今後も付き合いの続く親族関係。
できるだけトラブルにならないよう、事前に直葬を行いたい旨を伝えて理解を得ておきましょう。
後から弔問客の対応に追われる可能性も
直葬では基本的に参列者を招きません。
故人とお別れをしたかった方が、直葬が終わった後に「せめてお線香だけでも」と弔問にいらっしゃる可能性があります。
その人数が多ければ、葬儀後の手続きなどが大変な中でも、失礼のないように全ての方にしっかりと対応をしなければなりません。
そのため故人が、生前付き合いのある方が多い場合には直葬はおすすめできません。
お墓に入れないことも
お寺にお墓がある場合には要注意です。
お墓があるお寺を「菩提寺」といい、基本的にそのお墓に入るためには菩提寺のお坊さんに供養をしてもらう必要があります。
供養をするには「通夜」そして「葬儀」を行う必要があるという菩提寺の考え方が強い場合、菩提寺の許可がない状態で直葬をすると、お墓に入れてもらえなくなることも。
最近では「お骨を持ってきてくだされば、納骨の際に供養しますよ」と寛大なお坊さんもいます。
どちらにしても、必ず直葬を行う前に菩提寺に相談をしましょう。
付き合いのあるお寺がない場合や、宗教・宗派の関係ない公営または民営の霊園や納骨堂を購入済みの場合には、心配ありません。
直葬はこんな人におすすめ
直葬のメリット、デメリットを紹介しました。
そのうえで、直葬は以下のような人におすすめです。
- 故人が高齢で身寄り、付き合いのある人が少ない
- 費用や、時間、身体的・精神的負担を極力抑えたい
- お寺など、宗教者との付き合いが濃くない
- 宗教や宗派の関係ない霊園や納骨堂を持っている
反対に、故人が生前顔が広かった場合や、お寺などの宗教者との付き合いが濃かった場合には、弔問の対応に追われたり、お墓に入れなくなってしまう可能性があるので、おすすめはできません。
もし直葬を行う場合には、そういった周囲の方や菩提寺に必ず相談することをおすすめします。
直葬は負担が少ないものの、後から「もっとちゃんと送ってあげればよかった」と自分自身が後悔するケースもあります。
「葬儀をやり直す」ことは基本的にできないため、直葬を行う際には慎重な判断が必要です。
もちろん直葬でも、送る気持ち次第でしっかりとしたお別れにすることはできるので安心してください。
ここまで直葬の流れ、メリット・デメリット、直葬を選択するかどうかの判断基準を紹介しました。
メリット・デメリット、そして故人の生前の付き合いの状況、故人や遺族の希望を鑑みて、直葬を行うか、通常通りの葬儀を行うかどうか、慎重に検討しましょう。