「いざ親が亡くなったら何をしたらいいか分からない」という方が多いのではないでしょうか。
親が亡くなった後には、悲しみに暮れる暇もなくやらなければならないことが沢山あります。
知らずにいると、受け取れるはずだったお金を受け取れなかったり、反対に後から払うお金が増えてしまったりする可能性もあります。
そのようなことがないよう、親の亡くなった後にやることを把握しておきましょう。
この記事では親が亡くなった後にすべきことを、葬儀関係・役所手続き関係・相続関係に分けて解説します。
いざという時にスムーズに動けるよう、把握しておきましょう。
また、こちらのページの内容をまとめたYoutube動画もございます。
是非ご覧ください。

亡くなった直後~葬儀関係

お金と電卓

まずは亡くなった直後にするべきことから、葬儀に関することについて解説します。

近親者への連絡

まず親が亡くなった場合には、早めに近親者に連絡しましょう。
もし入院中などで、危篤状態になったことが分かった場合にはその段階で連絡します。
この段階でどこの範囲まで連絡するかは難しい判断ですが、概ね故人と3親等以内または生前親しくしていた方などにお知らせするのが一般的です。
この場合、緊急性が高いため時間を問わず電話で連絡してもマナー違反にはなりません。
もし亡くなってからの連絡となった場合には、葬儀等の日程については追って知らせる旨を伝えておきましょう。

葬儀社を探す

亡くなった場所から搬送してもらう葬儀社を探します。
病院などで亡くなった場合、できるだけ早くベッドを開けるように言われることが多く、まずは故人を搬送してもらわなければなりません。
もちろん搬送だけを依頼して、葬儀を行う会社を別で探しても問題はありません。
しかしそうすると、搬送をしてもらった会社と葬儀社に2重に支払わなければならなくなり、費用が割高になる可能性があります。
そのため搬送を依頼する葬儀社には、葬儀もお願いするつもりで選定することをオススメします。
選定のポイントは、地域・費用・対応などです。
葬儀をしたい地域に近い葬儀社数社に連絡して、相談してみましょう。
死後に探すとなると、時間がなくしっかり検討するのが難しくなるため、できるだけ事前に決めておくことをオススメします。
葬儀社は基本的に24時間365日電話を受け付けているので、時間帯に関係なく、すぐに連絡を取りましょう。
大阪市や堺市で葬儀社をお探しの場合は大阪市民葬センターにご連絡ください。

死亡診断書の受取り

病院で亡くなった場合または自宅療養中等に亡くなった場合には、死亡診断書、事故や自宅で突然亡くなった場合などには警察からの死体検案書を受け取ります。
A3用紙で左側が死亡届、右側が死亡診断書・死体検案書となっており、死亡日時・死因などを医師が記入します。
死亡診断書または死体検案書がないと、葬儀社は遺体を搬送出来ません。必ず受け取りましょう。

遺体の搬送先の決定

故人をどこに搬送するのかを決めます。
選択肢は大きく2つです。
自宅に搬送するか、葬儀社の提携施設や斎場などの安置施設に搬送するか選びましょう。
自宅以外の場所に搬送する場合には、場所や面会ができるかどうかなどを確認しておきます。
退院の手続き・入院費の支払い
入院中に亡くなった場合には、退院の手続きと入院費の支払いをする必要があります。
高額になる場合には、後から高額療養費として申請できる場合があるため領収書は保存しておきましょう。
また老人ホームなどの施設に入っていた場合には、施設利用料の清算などをする必要があります。施設の場合は病院よりもゆとりをもって清算出来る場合が多いです。

搬送・葬儀社との打ち合わせ

決定した搬送先に故人を搬送してもらいます。
自宅や遺族も入れる安置施設の場合、寝台車の助手席や他の車に乗って同行するのが一般的です。
安置が完了したら、葬儀社と葬儀についての打ち合わせを始めます。
深夜だった場合などは、改めて翌日に打ち合わせをすることがあります。その場合も、火葬場の予約を取るために日程だけ先に決めることが多いです。
打ち合わせでは、葬儀の日程や場所、葬儀形式や内容、参列人数、棺や祭壇、骨壺の種類、料理や返礼品を決めます。

死亡届の提出

亡くなってから7日以内に死亡届を役所に提出します。
死亡診断書の左側についているのが、死亡届です。死亡届の提出とともに火葬許可証が発行され、火葬が可能になります。
ほとんどの場合、葬儀社が提出を代行してくれます。
そのため葬儀社に預けられる認印を用意しておきましょう。令和3年9月1日より死亡届への押印は任意となりましたが、自治体によって求められることがあるため、念のため用意しておくと安心です。
死亡届を提出できる自治体は次の3つに限られているので注意しましょう。
・亡くなった場所 ・亡くなった人の本籍地 ・届出人の住民票がある場所 提出した死亡診断書と死亡届の原本は戻ってきません。
今後の手続きで必要になる場面が多いため、必ずコピーをとっておきましょう。5部ほどあると安心です。

関係者への連絡

葬儀の日程や場所が決まったら、親族や葬儀に参列してほしい方など関係者に、亡くなったことと葬儀についての詳細を連絡をします。
もし家族葬等で、参列や香典などのお供えを辞退する場合には、その旨も確実に伝えましょう。
またご自身の会社やお子さんの学校など、葬儀に参列するために休む必要がある場合も欠席の連絡をする必要があります。

納棺・通夜・葬儀

決めた葬儀日時になったら、故人の納棺、通夜、葬儀が行われます。
一日目に納棺と通夜、二日目に葬儀・告別式・火葬を行うのが一般的です。
最近では通夜を省略して行う一日葬、通夜や葬儀を省略して火葬のみを行う直葬や火葬式といった形式で行われることも少なくありません。

葬儀費用の支払い

葬儀が終わったら葬儀費用を支払います。
葬儀社によって支払期限や方法は様々です。
現金、銀行振り込みが一般的です。
支払期限も葬儀社によって様々です。
当日支払いのところもありますが、葬儀から一週間~二週間が一般的です。
今後の手続きの際に必要になるので、葬儀の領収書は必ず捨てずに持っておいてください。

忌日法要

忌日法要とは、亡くなった日から7日毎に行う法要のことです。
本来は7日毎に、故人が極楽浄土に行けるよう供養します。しかし現代では7日毎に全ての法要を行う人はほとんどいません。
葬儀当日に「繰上げ初七日法要」として7日目の法要を一緒に行い、その後は四十九日法要で再度供養する傾向が多くなりつつあります。

四十九日法要・納骨

亡くなってから49日目に四十九日法要を行います。
このタイミングで一緒に納骨するのが一般的です。
仏教では亡くなってから49日目に極楽浄土に行けるかどうかの最後の審判が下ると言われています。
そのため故人が無事に極楽浄土に行けるように供養を行います。
また四十九日法要をもって「忌明け」とされ、故人を偲んで喪に服していた期間が終わります。

役所手続き関係

次に役所関係の手続きについて解説します。
法律によって期限が決められているものも多くあるため、しっかり把握しておきましょう。

除籍謄本の取得

今後の手続きで必要になるので、故人の本籍地で除籍謄本を取得しておきます。
除籍謄本とは、死亡した事実が書かれた戸籍です。
2~3枚取得しておくと安心です。

世帯主変更

亡くなった方が世帯主だった場合には、世帯主変更の届出をします。
期限は亡くなった日から14日以内です。
1人世帯だった場合や、残った家族が1人の場合、または15歳以上の大人1人と子供だった場合など次の世帯主が明白な場合には、世帯主変更の届出は不要となります。
届け出先は住民票がある市区町村です。

国民保険の資格喪失届と返還

故人が国民健康保険に加入していた場合には、国民健康保険の資格喪失届と健康保険証の返還を行います。
届け出先は故人の住民票がある市区町村です。

介護保険の喪失届と返還

介護保険についても介護保険の資格喪失届と、介護保険証の返還を行います。
こちらも故人の住民票のある市区町村が届け出先なので、その他の届出と一緒にしてしまいましょう。

葬祭費の受給申請

故人が国民健康保険に入っていた場合には葬祭費を受け取ることが出来ます。
葬儀後2年以内に申請しないと受け取れなくなるので注意して下さい。
この時に葬儀を行ったことの証明として、葬儀費用の領収書が必要となります。
葬祭費の支給額は自治体によって異なり3~7万円程度です。
会社で社会保険に加入していた場合には、埋葬費として同じように3~7万円程度受け取れます。

年金支給の停止手続き

故人が年金受給者だった場合には、年金事務所または年金相談センターで、年金受給権者死亡届を提出する必要があります。
日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合、手続きは不要です。
同時に、未支給分の年金の支給請求ができます。

相続関係

チェックリスト 相続関係の手続きは数多く、かつ複雑です。
期限が決まっているものもありますので、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士など各種士業の方への相談や、代行依頼も検討しましょう。
大きな流れは、遺言書の確認⇒相続人の調査⇒遺産の調査⇒相続放棄・限定承認するかの判断⇒準確定申告⇒遺産分割協議⇒相続税の申告です。

遺言書の確認

相続する人や相続する物などは、遺言書の有無で大きく変わります。
そのため遺言書の有無をまず確認しましょう。
もし故人が公正証書遺言を残していた場合には、最寄りの公証役場に連絡して、必要な書類などを確認しましょう。
もし公正証書遺言としてではなく、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には自力で探すしかありません。
金庫や、通帳や銀行印を保存している場所、思い出のものをしまっている場所などを探してみましょう。
そこで、勝手に封を開けないように注意してください。
公正証書遺言以外の場合には、家庭裁判所に届出をして検認手続きをしなければ行けません。
検認とは、遺言の存在とその内容を確定させ、検認以後の遺言書の書き換えなどを防ぐための手続きです。
検認をしていない遺言書は相続手続きに使用することができないため、公正証書遺言でない場合には必ず検認手続きを行いましょう。
また後ほど解説しますが、相続放棄の期限は相続開始から3か月以内に行わなければなりません。
検認が遅くなると、相続放棄をするか否か判断する期間が短くなってしまうので、できるだけ早く行いましょう。

相続人の調査

故人の出生から死亡までの戸籍謄本を元に、相続人を確認します。
戸籍謄本は、本籍地の役場に申請書、除籍謄本、申請者の身分証明を持参すると発行してもらえます。

相続財産の調査

故人の財産を調査します。財産には預貯金や不動産などのプラスのものもあれば、借金などのマイナスのものもあります。
次のものを確認しましょう。
・預貯金 各金融機関で残高照会をしたり、自宅の通帳などを調べます。
・現金 自宅に現金などがないか調べます。
・不動産 法務局で全部事項証明書をもらって、不動産の正確な情報を調べます。
・株式など 証券会社に問合せをしたりして、株式などの財産も調べます。
・車 車も財産となります。売却査定をした金額が車の価値となります。
・借金や未払金など 金融機関、消費者金融、クレジットカード会社などからの借金がないかどうかを確認します。

相続放棄・限定承認するかの決断

相続放棄とは、預貯金や不動産などの財産を相続しない代わりに借金などのマイナスの遺産も相続しない手続きです。
限定承認とは、相続はするもののプラスの財産でマイナスの財産を返済し、プラスの超過分だけ相続するという方法です。
相続放棄や限定承認をする場合には、相続開始から3か月内に管轄地域の家庭裁判所に申請する必要があります。

準確定申告

亡くなってから4か月以内に、準確定申告を行います。
準確定申告とは、亡くなった人に確定申告が必要だった場合に、相続人が代わりに確定申告を行うことです。
遺産分割協議書の作成
相続人間で、相続財産をどのように分けるかどうかを協議します。
相続人で合意をした相続内容を書類にまとめます。この後の手続き関係で必要になる書類です。
司法書士や弁護士などに作成を依頼することをオススメします。

相続税の申告

亡くなってから10カ月以内に相続税の申告をしなければなりません。
ただし相続財産の合計が基礎控除額を上回る場合のみです。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
申告期限を過ぎると、相続税の控除などが受けられなかったりペナルティが発生する可能性もあるので注意しましょう。
税理士さんへの相談をオススメします。

遺留分侵害額請求

もし遺言書に書かれた相続額が、遺留分よりも少なかった場合には亡くなってから1年以内に遺留分侵害額請求ができます。
遺言書の内容に関わらず遺留分を受け取ることが出来るので、遺言内容が少なかった場合には必ず行うようにしましょう。
遺留分は配偶者だけならば、配偶者だけなら2分の1、子供だけなら2分の1、配偶者と子供がいる時には4分の1ずつなどと決められています。

その他の手続き

葬儀や相続関係以外にもやるべきことがたくさんありますので、解説します。

死亡保険金の受取り

生命保険などに加入していた場合には、死亡保険金が受け取れます。
保険証券などで「契約者」「被保険者」「保険金受取人」を確認しましょう。
保険金受取人として記載してある人が、死亡保険金受取りの手続きをします。
保険証券に記載してある連絡先または保険代理店に連絡して、必要な手続き内容を確認しましょう。

免許証の返還

最寄りの警察署で運転免許証を返還します。
ただし運転免許証の返還は義務ではありません。故人の思い出として取っておく方もいます。

公共料金の手続き

電気・ガス・水道などの公共料金についても手続きが必要です。
故人が住んでいた家にもうだれも住まないのであれば解約を、家族が住んでいる場合には名義変更となります。
支払明細書に連絡先が書いてありますので、そちらに連絡します。
もし手元にない阿合には、引落口座になっている通帳で引落先を確認したり、近隣の電力会社やガス会社、水道局に問合わせてみましょう。

テレビ・インターネット・電話の手続き

テレビ・インターネット・電話に関しても解約または名義変更が必要です。
ルーターやモデムなどはリースになっている場合もあるので、捨てないでおきましょう。

クレジットカードの解約

クレジットカードの解約手続きも必要です。
未払い分は相続対象になるので金額を確認しましょう。
故人が契約していたカード会社に連絡して、解約手続き方法を問合わせます。
カードが把握出来ない時は、引落先口座の通帳などを確認しましょう。
故人の家族カードを持っている場合、故人のカードを解約すると家族カードも同時に使えなくなるので注意してください。
残っているポイントやマイルは、カード会社の規約によって執行になる場合や、相続対象になる場合もあります。多くの場合、ポイントは失効、マイルは相続対象となるようです。
解約手続きの際にあわせて確認しましょう。

事前準備がオススメ

このように親が亡くなってからは、やらなければならない手続きが沢山あります。
これらのことをそれぞれの期限を守って行うのは、とても大変です。
そのため余裕がある場合には、亡くなる前から少しずつ準備しておくことをオススメします。
「親の死後の準備」なんて不謹慎と思われるかもしれませんが、しっかりと手続きをするうえでとても大切なことです。
親と話し合い、親の家族関係や財産のことをできるだけ把握しておきましょう。
もしもの時に大切なものをどこに保存してあるかを確認しておくだけでも安心です。
そういった情報をまとめておく、エンディングノートなどを書いてもらうのも1つの手です。

まとめ

親が死亡した後には、葬儀、役所関係、相続関係、その他様々な手続きが必要です。
1人で全て行うのは大変なので、兄弟や親戚と協力して進めましょう。
期限がある手続きも沢山あります。
そのため生前に少しでも話し合いをしておくと安心です。
また不備があると手続きが進まない可能性もあります。自信がない、手続きする時間がない場合には、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士などのプロの手を借りることをオススメします。