墓地のタイプについて
日本で「お墓」といえば、一般的には広い土地にそれぞれの家の墓が並ぶ墓地や霊園を思い浮かべます。墓地と霊園はほぼ同じ意味で使われています。
墓地には「区画」と呼ばれる外柵で囲まれたスペースに、一家の墓が建立されています。1区画に建てられた石碑を中心とする墓を、通常「一般墓」といいます。
墓地には運営母体により大きく分けて「寺院墓地」「民営墓地」「公営墓地」があります。いずれも一定の広さの土地に墓石を建てるタイプの墓地、霊園です。一家の墓が集合している場所が、墓地、霊園ということができます。
公営墓地(公営霊園)は自治体が所有、管理するものでその自治体に住民票がある人のみが利用できるケースと、それ以外の人も利用が可能な場合があります。
その自治体に居住している人は、費用面で優遇されます。公営墓地を希望する人は、可能であれば自分の居住地の墓地を探すと費用の負担が軽くなります。
墓地や霊園とは別に、遺骨を安置する場所として「納骨堂」があります。納骨堂は屋内型の施設で、多くの人がイメージする「お墓」とは異なり、墓石を持たない墓といえます。遺骨を安置するスペースが内部に並んでいる建物が納骨堂で、主に以下のタイプがあります。
- 棚式:棚に骨壺に納められた遺骨を並べて安置するものです。
- ロッカー式:屋内にあるロッカー様の収蔵庫に個別に遺骨を安置するかたちです。イメージとしては、駅などにあるコインロッカーに似たものです。
- 仏壇式:上下二段に分かれた収蔵庫で上段に位牌を置く祭壇、下段に遺骨を納めるスペースがあるものです。
- 自動搬送式:参拝者が訪れたときに所定の場所まで遺骨を機械で自動搬送するシステムです。広い敷地を必要としないため駅近のビルなどに多くみられ、マンション型納骨堂とも呼ばれます。都心部に多く、限られた土地に多数の遺骨を収容することができます。
納骨堂のメリット
- 墓石を必要としない分、一般墓に比べ初期費用が安く済みます。
- 屋内のため季節や天候に左右されず参拝ができます。
- 墓の清掃や除草などの管理が不要です。
- 墓の承継者を必要としません。
納骨堂のデメリット
- 一般墓が永代使用料を支払うことで次世代、次々世代まで承継者がいる限り使用権を保持できるのに対し、納骨堂は使用期限が決まっています。
- 納骨堂の使用期限の満了時には使用権の更新をし、改めて使用料を支払って使用継続をするか、遺骨を引き取る必要があります。
- 納骨スペースが小さく、納骨できる数に限りがあります。
- 屋内の限られたスペースにあるため防災上、参拝時に線香や供物、供花に制限が設けられる場合があります。
- 一般墓よりも年間管理料が高い傾向にあります。
堺市立霊堂の基本情報
住所 | 大阪府堺市南区鉢ヶ峯寺773 堺公園墓地内 |
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アクセス | 南海高野線 滝谷駅下車 公園墓地北口まで 9.1㎞ 車18分ほか |
連絡先(霊園管理事務所) | 電話 072-292-7455 FAX 072-292-4431 |
管理事務所業務時間 | 7:00~19:00 年中無休 |
宗旨・宗派 | 不問 |
駐車場 | あり |
堺市立霊堂の概要
堺市立霊堂は、堺市が運営する公営の納骨堂です。同じく堺市営の堺公園墓地(堺市霊園)の敷地内にあります。堺公園墓地の北側に建物があり、霊堂のほか、霊園管理事務所、35畳の和室などが入っています。和室は法要に利用でき、堺公園墓地や堺市立霊堂に墓があると、法要時の墓参が楽にできます。
主要駅からのアクセス方法は、堺公園墓地と同じです。霊堂へ行く人は南海バスの定期バスや臨時バスの、霊堂近くのバス停で降車します。
定期バスの霊園周辺バス停は3ヶ所あり、「公園墓地北口」バス停が霊堂にもっとも近く、約700m、徒歩10ほどです。日曜・祝日運行の臨時バスは「堺市立霊堂前」が最寄りバス停です。定期バスと臨時バスのバス停が異なりますので、注意が必要です。
堺市立霊堂には「納骨壇」と呼ばれる、遺骨の収蔵庫が4タイプあります。納骨壇の上部に祭壇、下部にカロートと呼ばれる遺骨を収蔵するスペースが作られています。カロートは施錠され、鍵は霊園管理者が保管しているため、利用者が開閉することはできません。納骨や遺骨の取り出しは利用者だけでは行えず、管理職員の立ち合いが必要です。
施設内部はよく清掃され、管理が行き届いています。屋外は広大な堺公園墓地の季節の樹木や草花を楽しめる、自然に恵まれた環境です。霊園は桜の名所としても知られ、墓参者や地域の人々に親しまれています。
堺市立霊堂にかかる費用
堺市立霊堂は堺公園墓地と立地は同じですので、公園墓地に一般墓を建立する場合と、霊堂に納骨する場合の費用を比較してみます。
【墓地にかかる費用】
- 永代使用料:1㎡あたり420,000円
最小区画(2.6㎡)1,092,000円から
- 年間管理料: 1㎡あたり1,500円
最小区画(2.6㎡)3,900円から
- 墓石工事費:およそ100万円から
【霊堂にかかる費用】
- 使用料:堺市在住者
新規祭壇 8年 140,000円/30年 381,000円
空き祭壇 8年 112,000円/30年 360,000円
- 使用料:堺市在住者以外
新規祭壇 8年 210,000円/30年 571,000円
空き祭壇 8年 168,0000円/30年 540,000円
- 年間管理料:納骨壇1基につき12,000円
「新規祭壇」とは未使用の祭壇、「空き祭壇」は8年または30年の使用期間が終了または改葬などで使用者から返還された祭壇で、新たな使用者を募集して再利用するものです。
墓地の一般墓と、霊堂の納骨壇の費用の比較をまとめると以下のようになります。
- 使用料
堺公園墓地は「永代使用料」を一度支払えば、使用名義人が死亡しても名義変更のうえ子孫が承継できます。一方、堺市立霊堂は使用期限が8年または30年と決まっており、期限満了時には新たに使用料を支払って使用を継続するか、遺骨を引き取り納骨壇を堺市に返還します。
初期費用としては墓地が最小区画で約109万円、霊堂は堺市民が30年分を支払うと54万円です。初期費用だけをみると霊堂は墓地の2分の1ですので、割安に感じます。
- 年間管理料
墓地の区画内や区画周辺の清掃、除草などは使用者が自ら行うことが前提です。そのため堺市に支払う年間管理料は、それほど高額ではありません。
霊堂は維持管理を堺市にほぼ任せるかたちで、管理料が割高です。霊堂の管理料には清掃費や管理職員の人件費、建物や設備のメンテナンス料などが含まれます。一般的に、納骨堂の管理料はその性質上、一般墓よりも高く設定されています。
年間管理料は墓地が最小区画で3,900円、霊堂が12,000円で、霊堂は墓地の約3倍の料金です。
- 墓石工事費
建墓にかかる費用はどのような墓を建立するかにより、金額の幅がひじょうに大きくなります。
墓の中心部に位置する棹石(〇〇家之墓と彫刻される石)にはいくつかサイズがあり、和型墓石では竿石の横幅が基準になります。西日本では8寸角(24.2㎝)、東日本では9寸角(27.3㎝)が中心です。
大阪府では8寸角の棹石とその他の付属品(香炉、花立て、灯籠、墓誌、卒塔婆立てなど)、カロートと外柵を合わせて100~200万円を墓石工事費にあてる人が多いようです。
納骨壇ではその費用が一切かかりません。そのため堺市立霊堂を利用すると、墓にかける費用が大きく軽減できます。
6-1 納骨堂の利用が向いている人
- 墓の費用を抑えたい
- 次の代に墓を引き継ぐ人がいない
- 遠方への転居、高齢、病気などの理由で定期的な墓参や墓の管理、清掃ができなくなった
6-2 一般墓の利用が向いている人
- 代々の墓を末永く残したい
- 現在、寺院の檀家になっていて今後も寺院との付き合いを継続したい
一般的な納骨堂の申込みから納骨までのスケジュール
近年は少子高齢化や核家族化が進み、家の墓を将来も守ってゆくことがしだいに難しくなりました。そのため永代にわたり使用できる一般墓よりも、納骨堂を選ぶ人が徐々に増えています。納骨堂の契約を検討している人は、以下の流れで慎重に選ぶようにしましょう。
7-1 情報収集
納骨堂の情報収集を行います。インターネット、使用者の口コミや親せき、友人・知人の評判を聞きます。複数の納骨堂から資料を取り寄せ、立地、費用、遺骨の収蔵可能数、運営母体等を比較します。
納骨堂も墓地、霊園と同様、運営母体は寺院、民間企業、地方自治体とがあります。寺院や民営の納骨堂は経営状態の悪化などで閉鎖のリスクも否定できません。経営破綻している納骨堂も過去にはあり、経営状態に関してはじゅうぶんな注意が必要です。
公営の納骨堂は自治体が管理運営しているため、倒産や閉鎖などの心配はほとんどありません。ただし費用も割安なため人気が高く、希望の納骨堂の募集枠が少なかったり、抽選になったりします。
7- 2 納骨堂の見学
興味を持った納骨堂があれば、実際に参拝したい時間帯に合わせて見学してみます。見学時にチェックしたい項目は以下のとおりです。
- 最寄り駅からの道順、所要時間、歩きやすさ
- 車利用なら駐車場の有無、駐車料金
- 施設全体の雰囲気がよく、清潔感があり管理が行き届いているか
- バリアフリー、障害者用トイレなどの有無
- 建物の老朽化が目立たないか
- 職員、スタッフの対応がよく、質問に丁寧に答えてくれているか
7-3 使用申込み、契約
気に入った納骨堂があれば空き状況を確認し、申込みをします。指定された使用料と管理料の支払い方法に従い、支払いをします。
7-4 納骨
納骨堂には、骨壺のまま納骨します。必要に応じて開眼供養を行います。開眼供養とは、新たに墓や仏壇を購入した際に僧侶に読経をしてもらう儀式です。
依頼した僧侶には、御礼としてお布施を渡します。開眼供養のお布施の相場は3~5万円といわれていますが、金額がわからないときには直接寺院に問い合わせても失礼にはあたりません。
堺市立霊堂の見学について
霊堂内は随時見学が可能で、予約は不要です。必要に応じて職員が案内をしますので、説明を聞きたい人は事前に連絡をしておくとスムーズです。
- 連絡先:霊園管理事務所
電話 072-292-7455/FAX 072-292-4431
電子メール
izumiko@city.sakai.lg.jp
堺市立霊堂の申込みについて
使用申請の申込みは年末年始(12月29日から1月3日)を除いて毎日受付をしています。
堺市立霊堂は同一世帯で納骨壇を2基まで使用可能です。そのため申込みには現在、同一世帯ですでに2基を使用していないことが必要です。申請から使用許可、納骨までの流れは以下のとおりです。
9-1 使用申請
- 受付時間:9:00~12:00 12:45~17:15
- 受付場所:堺市立霊堂
- 必要書類:住民票1通(本籍記載、申請時から3ヶ月以内に交付のもの)
9-2 納骨壇使用料等の払込み
納入通知書が発行されますので、期限内までに納入してください。
9-3 納骨壇使用許可証の交付
- 交付時間:9:00~12:00 12:45~17:15
- 後部場所:堺市立霊堂
- 必要書類:堺市立霊堂納骨壇使用申請受付票
各種申請・事務手続きについて
現在、堺市立霊堂を利用している人が必要になる事務手続きは以下のとおりです。使用名義人の死亡、転居などの変更事項があった場合は下記の手続きが必要です。
納骨壇の使用権を承継するとき
納骨壇の使用期間中に使用者が死亡した際には、遺族などが使用権を承継することができます。前使用者の納骨壇使用許可証、承継者の印鑑登録証明書、前使用者の死亡を証明する書類を添付し、堺市立霊堂納骨壇承継申請書を堺市長に提出します。
納骨壇を返還するとき
納骨壇の使用者が使用を中止したり使用期間が満了したときは、納骨壇返還届を堺市長に提出し、返還します。
納骨壇から遺骨を引き取るとき
納骨壇に安置されている遺骨を引き取りたいときは、焼骨等引取届出書を堺市長に提出し、許可を得る必要があります。遺骨を他の場所に移す改葬を行う場合は、改葬許可証の提示が必要です。
納骨壇使用者の住所、氏名、本籍が変わったとき
堺市へ変更届の提出が必要です。
堺市立斎場について
堺市には堺市が運営する公営の堺市立斎場(以降、市立斎場という)があります。故人が堺市に住民票があると、低料金で利用することができます。一般的に地方自治体が運営する施設は、その市町村に居住する人が優遇されます。
市立斎場には、17基の火葬炉を持つ火葬場が併設されています。市立斎場を利用することで通夜、葬儀・告別式、火葬までをひとつの施設内で済ませることが可能です。
加えて法要施設もありますので、葬儀当日に合わせて行うことが多い初七日法要も執り行うことができます。
全国的に友引の日の葬儀を避ける傾向があるため、友引に休業する火葬場も各地に見られます。しかし大阪府全域の火葬場と同様、堺市立斎場も友引の日も開場しています。
市立斎場の基本情報
住所 | 堺市堺区田出井町4-1 |
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アクセス | JR阪和線「堺市」駅より徒歩5分 → 行き方を詳しく見る |
主な施設 | ・火葬炉 17基 ・待合室 12室 ・式場 3室(大式場 2室、小式場 1室) |
主な施設使用料 (堺市民の場合) |
大人の火葬料 20,000円 大式場の使用料 70,000円 小式場の使用料 50,000円 (使用料金に関して詳しくはこちら) |
駐車場 | 有料約150台 ※ご親族は4台まで無料 |
葬儀のご相談 | 0120-30-1059(24時間対応) |
市立斎場の概要
市立斎場が火葬場として開設されたのは明治43年(1910年)で、長いあいだ地域の人たちにとっての火葬場として、重要な役割を果たしてきました。
平成11年(1999年)に、老朽化が進んだ施設の全面改築が行われています。その際に葬儀式場が併設され、新しい施設に生まれ変わりました。
現在は堺市内で最大規模となる17基の火葬炉を備えた火葬場と、葬儀式場を併せ持つ利便性の高い斎場になりました。施設の全面改装により、堺市駅前再開発事業と並ぶ堺市駅周辺の街づくりの一環として、環境と調和する建物になっています。
外観や内装が近代的になっただけではなく、火葬場は無煙、無臭でダイオキシン排出を抑制した燃料の使用により、近隣住民や環境に配慮しています。
一般的に火葬に要する時間は2時間ですが、最新の設備を備えた市立斎場の火葬炉では1時間30分で火葬が終了します。30分の時間短縮は、遺族や親族など火葬に立ち会う人たちの負担軽減につながっています。
市立斎場で執り行える葬儀プランと費用の目安
以下は市立斎場で執り行える葬儀プランの費用目安です。プランに火葬料金は含まれていません。
堺市立斎場でご提供できる葬儀プラン
大阪市民葬センターでは、下記のプランにて一日葬や家族葬をはじめとする葬儀を執り行っております。
堺市立斎場での一日葬や家族葬などの葬儀にも対応可能です。
お葬式に必要な基本項目に加え、
火葬料金・お通夜料理・供養品・安置料金・出棺用花束
までも各プランに含まれています。
※プランにより、含まれている項目が違いますのでご確認下さい。
説明の無い追加費用は一切掛かりません。
火葬料金
市立斎場は堺市の公営斎場ですので、亡くなった人が堺市民であれば低料金で利用することができます。堺市民以外も火葬場の利用が可能ですが、堺市民の5倍の料金がかかります。
【堺市民】
大人(12歳以上) 20,000円
小人(12歳未満) 14,000円
死胎 6,000円
【堺市民以外】
大人(12歳以上) 100,000円
小人(12歳未満) 70,000円
死胎 30,000円
堺市で受け取れる死亡時の給付金
葬儀後に葬儀を執り行った人(通常は喪主)の申請により、葬儀費用の補助を目的とした給付金を受け取ることができます。
故人が生前加入していた公的健康保険が国民健康保険もしくは後期高齢者医療制度だった場合は、葬祭費として堺市から5万円が申請者に給付されます。故人が社会保険に加入していた場合は、加入していた健康保険から一律5万円の埋葬料が給付されます。
葬祭費も埋葬料も、死亡届を提出しただけで自動的には支給されず、遺族からの申請が必要です。死亡日から2年以内に申請を行わないと給付金を受け取る権利が消失しますので、忘れずに申請しましょう。
市営斎場の好まれる点
- 市営斎場は葬儀式場と火葬場が併設されています。通夜、葬儀・告別式、火葬、初七日法要までを一ヶ所で執り行える、利便性の高い施設です。
- 火葬炉数は17基と、堺市内では最大規模の火葬場を有しています。
- 一般的に火葬時間が2時間かかるところ、市営斎場の火葬場は最新設備により1時間30分に短縮されています。
- 阪和線堺市駅から徒歩5分の交通至便な立地です。JR大阪駅から快速に乗車すると25分で堺市駅に到着し、遠方からの参列者にとっても便利な斎場です。
- 駅前にあるため、周辺には商店、飲食店、宿泊施設が多く、買い物や食事、宿泊に便利です。
- 友引の日も営業します。
市営斎場の残念な点
- 堺市営の施設のため、堺市民は低料金で利用できますが市民以外の人は式場使用料が3倍、火葬料金が5倍かかります。
- 葬儀式場は70人収容の大式場、40人収容の小式場があります。近年増加している家族葬に適した小式場が1室しかないため、家族葬を執り行う際には、希望の日程まで何日か待つことがあります。
堺市立斎場について詳しく知りたい方は下記ページをご覧ください。
まとめ
堺市の公営墓地内にある堺市立霊堂と、堺市営斎場のご紹介をしました。
堺市立霊堂は屋内に配置された納骨壇に遺骨を納めるタイプの墓で、一般墓にかかる墓石工事費が不要な点が大きなメリットです。
市立斎場は堺市駅前という好立地で施設も新しく、通夜から葬儀・告別式、火葬、初七日法要までを同一施設内で執り行えることで高く評価されています。
墓地や納骨堂、葬儀会場を選ぶ際の参考にしてください。