亡くなった人とのお別れの場を表す言葉は様々ありますね。皆さんは、『お葬式葬儀』や、『お通夜告別式』の違いをご存知ですか?

実は、これらの言葉は、それぞれ意味が異なります。
仏事で用いられる言葉は難しいうえ、慣れない告別式にあたって、迷ったり、悩んだりしている人もいらっしゃるでしょう。

告別式の特徴や流れは?
喪主の挨拶の例文は?
参列のマナーや注意すべきことは?

人としてのモラルや常識を問われるのがお葬式。周囲へ迷惑を掛けたり、恥ずかしい思いをしたり、知識不足による失敗や後悔は避けたいものですね。

そこで、役立つ「告別式の知識」をまとめました。よくある質問も掲載していますので、お葬式の知識習得や告別式への参列を予定している方は、是非ご一読ください。

数式で分かる言葉の違い『お葬式=お通夜+葬儀+告別式』

お葬式や告別式や葬儀やお通夜の言葉の違い
はじめに、お葬式に関する言葉について、意味を簡単に表す数式をご紹介します。
[お葬式] = [お通夜] + [葬儀+告別式]

…イメージできましたか?

「お葬式」とは、「お通夜・葬儀・告別式」の総称です。そして、「葬儀」とは、故人の冥福を祈る宗教的な儀式のことをいい、お葬式の一部として構成されています。

仏式のお葬式は通常、1日目「お通夜」、2日目「葬儀・告別式」。つまり、2日間に亘って執り行われ、一般の参列者がお葬式へ参列する場合は、どちらかの日程を選択することになります。

一方、近年増えているのが「一日葬」です。この場合、お通夜が省かれ、葬儀と告別式のみが行われるため、会葬できるのは1日に限られるということになります。

このように、お葬式は種類によって参列の日程が異なります。会葬を予定されている方は、どうぞご注意ください。

告別式の特徴や役割とは?告別式とお通夜や葬儀との違い

告別式の役割
続いて、告別式の特徴や役割について解説します。

告別式に向けた心構えとして役立つため、予備知識として覚えておきましょう。

告別式の特徴は宗教的な要素がないお別れの儀式

告別式とは、故人とゆかりのある人が最後に集って行うお別れの儀式のことをいい、一般的に読経を伴う葬儀の延長で執り行います。
つまり、読経を伴って故人の冥福を祈る儀式を「葬儀」、その延長で行われる故人とのお別れの儀式を「告別式」と表し、告別式は宗教的な儀式ではないことが大きな特徴です。

そのため、告別式は、厳粛な畏まった葬儀とはスタイルが異なり、お葬式によっては、音楽を流したり、弔辞や弔電を読み上げたり、アットホームな雰囲気の中でお別れ式を行います。

告別式だけのお葬式はあるの?どんなお葬式?

告別式は、宗教的な要素が省かれることから、宗教者を呼ばずに行う「無宗教」のお葬式のことを告別式と呼ぶケースもあります。
一例では、「音楽葬」や「自由葬」、「お別れ会」などが該当します。

告別式の役割は2つ!献花によるお別れと施主による挨拶

告別式の特徴は花入れと挨拶
告別式には、次の大きな2つの役割があります。

①対面や献花などによって故人との最後のお別れを行う

告別式では、火葬の前にご遺体との対面や、棺への花入れを行います。

棺へ入れる切り花は「別れ花」とも呼ばれ、遺族や親族から順次、顔の周りを中心に、故人を華やかに飾るようにして捧げます。別れ花はお葬式で用いた供花を使用することが一般的で、葬儀社のスタッフが用意します。

告別式は、故人と対面できる最後の機会。追悼や感謝の気持ちを込めて、「ありがとう」と挨拶の言葉を送りましょう。

また、故人があの世でも豊かに過ごせるよう、愛用品や写経や手紙など、棺には副葬品を入れることも多くあります。お葬式によっては、最後に釘を石で打って棺の蓋を閉じる釘打ちを行う場合もありますよ。

棺は故人に近い男性の近親者が中心となって搬出を行います。棺の次に、お位牌(喪主)、遺影(遺族)の順序で並び、参列者へ一礼した後、お別れの長いクラクション音を合図に、霊柩車は火葬場へと向かいます。この際、車輌は寝台車の場合もあるそか、火葬場で行われるお葬式の場合はストレッチャーを使用します。

一方で、火葬後にお葬式を行う「骨葬(こつそう)」の場合、献花を省くのが一般的ですが、お葬式によっては献花台を用意して、参列者がお花を手向けることもあり、葬儀社の提案や遺族の意向によって、お別れの仕方は様々です。

②施主や喪主が会葬者へ参列のお礼の挨拶をする

施主や喪主は、告別式で参列していただいた会葬者へのご挨拶を行います。

参考:喪主と施主の違いとは?喪主や施主の決め方と役割を徹底解説

なお、お葬式により、告別式ではなく出棺する際に挨拶を行うケースもあるため、施主や喪主にあたる方は、あらかじめ葬儀社へ流れを確認しておくと安心ですよ。

告別式の挨拶文の例文とは?

告別式の挨拶文
続いて、告別式の挨拶文について例文をご紹介します。

慣れない挨拶に戸惑う人もいらっしゃると思いますが、安心してください。告別式の挨拶では、手紙を手にして読み上げても構いません。
簡略的な基本の挨拶文をご紹介しますので、どうぞご参考になさってください。故人のエピソードなど加えるとより良いご挨拶となります。

告別式にて閉式のご挨拶をする場合の挨拶文の例文

「本日はご多用中のところ、(続柄)●●の葬儀へご参列いただき、ありがとうございました。
生前、支えてくださった皆様に最期まで温かく見守られ、●●もたいへん喜んでいると思います。家庭でも皆様のことをよく話しており、とても充実した人生だったと思います。
皆様には、私ども家族のことまで気に掛けていただき、ありがとうございました。ご恩を忘れることなく、今後とも励んで参ります。
本日は本当にどうもありがとうございました。」

告別式の後に会食(法事)をする場合の挨拶文の例文

「本日はお忙しいところ、(続柄)●●の葬儀へご参列いただき、どうもありがとうございました。
寂しくなりますが、家族一丸となって乗り越えてゆきたいと思います。今後とも変わらぬお付き合いをどうぞ宜しくお願い申し上げます。
心ばかりですが、お食事の用意をさせていただきました。お時間の許す限り、ごゆっくりお寛ぎいただければと思います。」

葬儀・告別式の所要時間と流れとは?告別式の進行スケジュール

告別式の進行スケジュール
葬儀・告別式においては、あらかじめ当時のスケジュールを把握しておくことが安心に繋がります。
ここでは、進行にあたって、おおよその目安時間もご紹介しますので、参考としてご覧ください。

葬儀・告別式における所要時間の目安

葬儀・告別式は、立場やお葬式のスケジュールによって、所要時間が異なります。
スケジュールは、主に火葬場の予約時間や、初七日法要の有無によって、葬儀社によりプランが設定されます。

一般的に多い所要は次のとおりです。

遺族・親族:7時間程度(9時から16時頃まで)
一般参列者:4時間半~6時間程度(9時半から14時、もしくは15時半頃まで)

葬儀・告別式の流れとは?告別式の進行スケジュール

近年のお葬式では、繰り上げ初七日法要を伴うことが増えています。

お葬式を行う斎場の場所や火葬時間などによってもスケジュールプランは異なりますが、一般的な葬儀・告別式の進行スケジュールは次のとおりです。

火葬後に初七日法要を営む場合

09:00 遺族・親族集合
09:30 受付開始
10:00 葬儀開始(導師入場・読経)
11:00 弔辞・弔電
11:10 読経・焼香
11:20 導師退場・一同退場
11:30 告別式開始(出棺)
12:00 火葬
13:30 収骨
14:00 初七日法要
14:30 精進料理会食
15:30 解散

火葬前に初七日法要を営み、火葬中に会食を行う場合

09:00 遺族・親族集合
09:30 受付開始
10:00 葬儀・初七日法要開始(導師入場・読経)
11:00 弔辞・弔電
11:10 読経・焼香
11:20 導師退場・一同退場
11:30 告別式開始(出棺)
12:00 火葬・精進料理会食
13:30 収骨
14:00 解散

告別式に関するよくある質問(知っておきたい知識とマナー)

告別式でよくある質問FAQ

お通夜と告別式はどちらに参列するべき?

本来、お葬式では、お通夜よりも、葬儀式と故人との最後のお別れとなる「葬儀・告別式」への参列が理想です。
しかし、仕事や生活スタイルの事情により、昨今のお葬式では、お通夜のみへ参列することが増えました。

お葬式でどちらに参列するべきか迷う場合は、いずれか都合の良い日程を選択しても構いません。何より大切なのは、故人や遺族へ挨拶するために足を運ぶことです。

告別式への参列方法とは?

故人の訃報を人伝に知り、告別式へ参列したいと考える人もいらっしゃるでしょう。
ここで注意したいのは、遺族や親族、故人の友人となる連絡係から、お誘いがあるかどうかです。

お葬式には様々なスタイルがあり、お葬式を行わない「直葬」や、近親者のみで執り行われる「家族葬」などがあり、参列者を招かない場合もあります。また、参列者への料理や会葬御礼の準備も必要なため、当日になって、大勢で押し掛けるような参列は無礼に当たります。

そのため、告別式への参列を希望する際には、あらかじめ遺族への確認しましょう。なお、忙しい遺族は、個別の連絡に応じられないこともあります。その場合、斎場へ連絡をして、葬儀社を特定すれば、葬儀社から遺族へ確認してもらうことも可能です。

告別式へ参列する場合の服装や持ち物って?注意したいマナーは?

告別式には、「準喪服」を着用します。仕事の都合などでやむを得ない場合は、「略喪服」でも構いません。また、必要な持ち物についてもマナーを厳守しましょう。

お葬式に関するマナーについて、服装や持ち物、受付の手順やお焼香の手順を詳しく紹介しています。
詳しくは、以下を参考になってください。
参考:お葬式のマナーを徹底解説!葬儀や告別式に参列する時のマナー

告別式へ参列できない場合はどうしたら良いの?

告別式へ参列できない場合は、お通夜へ参列することが理想ですが、告別式の当日になってから都合が悪くなってしまうケースもあるでしょう。

その場合、お葬式から3日程度経過し、遺族が落ち着いてから、遺族のご自宅へ弔問する方法がありますよ。

告別式への参列が絶対ではないということを知っておくと、万が一の時にも安心ですよね。

告別式では遅刻や途中退場をしても良いの?

葬儀・告別式へ参列する場合、基本的に遅刻や途中退場は厳禁です。しかし、交通事情などによりやむを得ず遅れてしまったり、突然の体調不良で退場したい場合もあるでしょう。

基本的に葬儀・告別式は、開始30分前から受付が開始されます。つまり、受付後30分後から始まる儀式に間に合うようであれば問題ありません。

葬儀・告別式が開始されている場合、10~15分程度であれば、葬儀社の担当へ確認のうえ、最後尾にそっと着席します。20分以上遅れる際は、葬儀への参列を遠慮することが理想的です。葬儀社へ告別式のタイミングで入室できるかどうかを確認してください。

また、途中退場する可能性がある体調の場合、あらかじめ参列を遠慮することが好ましいです。

やむを得ず、途中で退場したい場合は、中腰姿勢で静かに退場し、再び席に戻る場合は、他の参列者へ迷惑を掛けないよう、最後尾に着席するようにしましょう。

まとめ

告別式に関するまとめ
告別式とお通夜や葬儀の違いは次の数式で覚えると便利です。
お葬式=お通夜+葬儀+告別式

また、告別式には次の特徴があります。
①対面や別れ花による故人とのお別れの儀式がある
②施主から会葬者への挨拶がある

告別式の所要時間は主に、遺族か一般参列者で異なります。
・遺族・親族の場合:7時間程度
・一般参列者の場合:4時間半~6時間程度

告別式では、遺族の立場では、挨拶文の用意をしておく必要があることがポイントです。また、一般参列者の立場では、準喪服や略喪服を着用し、忘れ物のないよう注意して参列しましょう。

以上、どうぞご参考になさってください。