葬儀では使うと遺族に対して失礼にあたる用語があります。忌み言葉と呼ばれる、不幸や不吉を連想させる言葉です。
今回の記事では、葬儀で使ってはいけない忌み言葉を一覧で紹介しています。また、忌み言葉をどのような言葉で言い換えればよいか、忌み言葉を使用しない挨拶例文も紹介しているため、これから葬儀に参列する方は参考にしてみてください。
忌み言葉とは
忌み言葉とは、その場にふさわしくない言葉を指し、特に不幸や不吉を連想させる言葉を意味します。葬儀の場では、不幸が重なることを連想させる「重ねる」や「続く」、死を直接連想させる「死ぬ」「消える」などの言葉が忌み言葉です。
これらの言葉を使うことで、さらに不幸を招くと信じられています。また、忌み言葉は葬儀の場だけでなく、結婚式でも避けなければなりません。結婚式では、縁起が悪いとされる「別れる」や「切れる」などの言葉が忌み言葉とされ、幸せな門出に水を差すことがないように注意が払われます。
このように、忌み言葉は特定の場面で不適切とされる言葉であり、その使用を避けることで、場の雰囲気や参加者の感情を尊重することが求められるでしょう。
忌み言葉の言い換え一覧
葬儀で挨拶する場合など、忌み言葉に特に気を付ける必要があります。忌み言葉を別の表現に置き換えて話さなければなりません。
次のケースで忌み言葉を解説します。
- 不幸を連想させる忌み言葉一覧
- 重ね言葉に該当する忌み言葉一覧
- 宗教による違い一覧
- 死を連想させる忌み言葉一覧
それぞれの内容をみていきましょう。
不幸を連想させる忌み言葉一覧
葬儀では、不幸を連想させる言葉は使用してはいけません。不幸を連想させる言葉と、置き換えた場合の言葉を次に示します。
不幸を連想させる忌み言葉 | 置き換えた言葉 |
再び | 今一度 |
追って | 同様に |
引き続き | 今後とも |
忙しい | 多用 |
次に | その後・新たに |
重ねて | 誠に |
繰り返し | しきりに |
また | さらに |
四(し) | よっつ、よん |
九(く) | ここのつ、きゅう |
例えば、四は死を連想させ、九は苦を連想させます。また、「つらい」などの表現も使用しないほうがよいでしょう。
重ね言葉に該当する忌み言葉一覧
重ね言葉も葬儀では使用してはいけない忌み言葉の1つです。重ね重ね、日々、などが該当し、これらの言葉は不幸が重なることを連想させてしまいます。
重ね言葉と、置き換えた場合の言葉は次の通りです。
重ね言葉 | 置き換えた言葉 |
重ね重ね | 加えて |
しばしば | いつも |
みるみる | 見る間に |
つくづく | 心から |
ときどき | 時折 |
皆々様 | 皆様 |
わざわざ | 特別に |
次々と | ひっきりなしに |
まだまだ | より |
いよいよ | ついに |
「ますます」や「ときどき」など、つい使用しがちな言葉も含まれているため、挨拶などをする場合は一度文面に書き出して確認するとよいでしょう。
宗教による違い一覧
宗教によっても使用してはいけない言葉が異なります。宗教によってNGとなる用語に関しては、言葉を置き換えるのではなく、使用しないことが望ましいでしょう。
それぞれの宗教で避けるべき用語は次の通りです。
宗教 | 避けるべき用語 |
仏教 |
|
神式 |
|
キリスト教 |
|
神式やキリスト教では、仏教の世界観に通じる「成仏」や「供養」などの用語を使用しないように気を付けましょう。
死を連想させる忌み言葉一覧
死を連想させる直接的な表現は避けましょう。直接的過ぎる言葉は、遺族の心に深く突き刺さり、失礼な印象を与えかねません。
死を連想させる忌み言と、置き換えた場合の言葉は次の通りです。
直接的な表現 | 置き換えた言葉 |
死ぬ | お亡くなりになる |
ご死去 | ご永眠 |
急死 | 突然のこと |
柔らかい表現を心掛け、遺族の気持ちに寄り添った用語を選ぶ必要があります。
葬儀で忌み言葉を使ってはいけない理由
葬儀では、遺族への配慮のためにも忌み言葉は使用すべきではありません。また、周りの参列者から常識がない人と思われる可能性もあるため気を付けましょう。
なぜ忌み言葉を使用してはいけないのか、具体的に解説します。
遺族へ配慮するため
忌み言葉によって不幸があったことを連想させてしまい、遺族を傷つける可能性があります。こちらが意図していない言葉でも、遺族にとっては心に突き刺さる表現として受け取ることもあるでしょう。
葬儀は、故人との別れを惜しみ、遺族の悲しみを共に分かち合う場です。そのため、遺族への配慮は最大限行わなければなりません。言葉1つが遺族の心に深い影響を与えることがあるため、慎重に言葉を選ぶことが求められます。
忌み言葉を避けることは、遺族の感情に配慮し、悲しみを少しでも和らげるための重要なマナーの1つです。忌み言葉を避けることは、その場の雰囲気を壊さず、遺族への思いやりを示す行動として欠かせません。
常識がないと思われることを避けるため
忌み言葉を当たり前のように使用してしまうと、周りから常識のない人と思われる可能性があります。
葬儀には友人や知人だけでなく、会社関係や取引先の人々も出席することが多く、さまざまな人々が集まる場です。そのような場で忌み言葉を使うことは、社会人としての常識やマナーを欠いていると受け取られ、悪い印象を与えかねません。
特に会社関係や取引先の人々が出席する場では、その場にふさわしい言葉遣いを心掛けることが信頼関係の構築にもつながります。忌み言葉を避けることで、他者からの評価を守り、適切な礼儀を持って行動できます。
忌み言葉以外に気を付けるべき表現
忌み言葉以外にも、葬儀の場で気を付けるべき表現があります。何よりも重要なのは、遺族の気持ちに寄り添うことです。忌み言葉に注意しても、言葉の表現次第では遺族の気持ちを傷つけてしまう可能性があるでしょう。
例えば、後悔させるような「あの時、もしもこうしていれば〇〇だったのに」などの表現は避けるべきです。このような言葉は取り返しのつかない過去を諭すものであり、遺族にさらなる悲しみや後悔の念を与えてしまうことになります。
また、「〇〇が亡くなった今、あなたがもっと頑張らないと」などのプレッシャーを与える言葉も適切ではありません。このような表現は、悲しみに暮れる遺族にとって重荷となり、さらなるストレスを与えることになります。
忌み言葉を使用しない例文
忌み言葉を使用しない例文として、次の2つのケースを紹介します。
- 葬儀・告別式の挨拶
- 精進落としの挨拶
それぞれの例文を紹介するので、参考にしてみてください。
葬儀・告別式の挨拶例文
本日はご多用にもかかわらず、亡き母〇〇の葬儀に参列いただき、厚く御礼申し上げます。皆様からの温かいご厚情と励ましに、家族一同、心から感謝しております。
生前、母〇〇は皆様とのご縁を大切にしておりました。そんな母にとって、生前関わりのあった皆様にこのようにお見送り頂けることは、何よりも幸せなことと感じているに違いありません。母〇〇もさぞかし喜んでいることと思われます。
母を失った悲しみは大きいものですが、今後は父や兄弟、家族で助け合い、母〇〇の分まで精一杯頑張って参ります。
母が大切にしていた絆や教えを胸に、家族一丸となって前を向いて歩んでいく所存です。どうか、今後とも変わらぬお付き合いをいただけますよう、お願い申し上げます。
精進落としの挨拶例文
本日は誠にありがとうございました。おかげさまで、故〇〇の葬儀、告別式も滞りなく終えられました。皆様からの温かいご支援とご厚情に、家族一同心より感謝申し上げます。
ささやかではございますが、皆様への感謝の気持ちを込めまして、このような席を用意させていただきました。故人〇〇が大切にしていた皆様にお集まりいただき、共に故人を偲べることを、大変嬉しく思っております。
本日は、故人〇〇の思い出話などをお聞かせいただきながら、どうぞごゆっくりとお食事をお召し上がりいただきたいと存じます。皆様とのお話を通じて、故人の思い出を共有し、温かい時間を過ごせることを願っております。
まとめ
今回の記事では、葬儀では使ってはいけない忌み言葉を解説しました。葬儀では、遺族への配慮のためにも忌み言葉は使用すべきではありません。また、周りの参列者から常識がない人と思われる可能性もあるため気を付けましょう。
使用すべきではない忌み言葉一覧と、置き換える用語の例を一覧で紹介しています。また、忌み言葉に配慮した挨拶の例文も合わせて紹介しているため、これから葬儀に参列する方は参考にしてみてください。