お葬式とは、故人を弔う大切なお別れの儀式。

喪主や遺族として葬儀や告別式を執り行う方はもちろん、弔問や参列をされる方も、礼儀やマナーを重んじる必要があります。

突然のご不幸に際して、失敗や後悔をしないためにも、慎重に準備を進めていく事が必要です。

そのためには、どのような手順によって何を執り行うのか、お葬式の流れを把握しておきましょう。

また、お葬式では親族や参列される方がスケジュールを調整しやすいよう、なるべく早く日程を伝えます。

しかし、お葬式は希望どおりのスケジュールで行えるとは限らず、24時間以内は火葬する事が出来ない事などを注意する必要があります。

ここでは、亡くなってから葬儀が終わるまでのお葬式に関する一連の流れについて分かり易く解説してまいります。

どうぞご一読いただき、正しいお葬式の知識を学んでください。

 

お葬式の流れ(亡くなってから葬儀が終わるまでの工程と手順)

  1. ご逝去
  2. 主治医または救急か警察へ連絡
  3. 死亡診断書(死体検案書)の受理
  4. ご遺体の搬送
  5. 斎場や自宅への安置
  6. 葬儀社との打ち合わせ
  7. 納棺
  8. 通夜
  9. 通夜振る舞い
  10. 葬儀
  11. 告別式
  12. 出棺
  13. 火葬
  14. 収骨
  15. 埋葬許可証の受理
  16. 繰り上げ法要(初七日法要・精進落とし)

 

ご逝去~死亡診断書(死体検案書)の受理

ご逝去した場合、まずは死亡診断書の受理が必要になります。

ご逝去した場所が病院か病院以外かで死亡診断書の受理の流れが少し変わりますので、病院と病院以外で亡くなった場合についてそれぞれ紹介していきます。

病院で亡くなった場合

入院や搬送によって病院で亡くなった場合、医師から死亡診断書が発行されます。

精算とともに、死亡診断書を受け取ります。

 

自宅など病院以外で亡くなった場合

自宅など病院以外で亡くなった場合、かかりつけの主治医に連絡します。

死因が持病によるものであれば、医師から死亡診断書が発行されます。

かかりつけの病院がない場合、明らかに亡くなっていたら110番、生死の判断に迷ったら救急119番へ連絡します。

亡くなっている場合、警察による現場検証が行われますが、事件性がないかどうかの確認です。

慌てず、落ち着いて事情聴取に対応します。

監察医や検察官による検視(検案)が終わると、死体検案書が発行されます。

死因が不明の場合、行政解剖が行われることもあり、書類の入手に時間を要する場合もあります。

 

ご遺体の搬送~斎場や自宅への安置

死亡診断書が受理されたら、ご遺体の搬送を行います。

 

ご遺体の搬送と業者選びの注意

病院や警察署は安置場所のスペースが限られているので、ご遺体はスムーズに自宅や斎場などへ搬送しなければなりません。

搬送後は、腐敗の進行を抑えるためにご遺体を処置し、ドライアイスを施して安置し、枕飾りやお葬式の準備を行います。

搬送のみを依頼できる専門業者もあれば、病院や警察署へ紹介してもらう葬儀社へ搬送のみを依頼することも可能ですが、お葬式は複数の業者を使用することによって、全体の費用が割高になる場合があります。

そのため、搬送の委託先は、あらかじめ決めておいた葬儀社へ依頼することが最良です。

なお、搬送料金は走行距離や高速代、使用する備品によって異なります。

利用したい斎場や、理想の葬儀プランについて、事前に複数の葬儀社で明細ごとに見積比較を行っておけば、費用面でも安心です。

また、ご遺体は亡くなってから24時間、火葬を行うことができないことが法律で定められています。

お葬式が行われるまでの間、斎場や自宅で安置する必要があるため、安置期間が長くなるほど、保冷庫などの使用料やドライアイス代が必要となります。

追加費用の発生にご注意ください。

 

ご遺体の安置後からお通夜までに行う枕飾り

浄土真宗以外の仏教では、お通夜までの間、枕飾りを行って故人を供養します。

枕飾りは仮祭壇とも呼ばれています。

枕飾りの台や花瓶は自宅にあるもので構いませんが、無ければ葬儀社が用意してくれます。

必要となる仏具は次のとおりです。

  • 白木台または白い布を掛けた台
  • 一膳飯
  • 枕団子
  • お水
  • お焼香
  • 燭台とロウソク
  • 香炉
  • リン
  • 花瓶と花(おしきみや菊)

 

葬儀社との打ち合わせ

ご遺体の搬送が終わったら、葬儀社と打ち合わせを行います。

 

葬儀社との打ち合わせ事項

お葬式にあたっては、主に次の事項を葬儀社と打ち合わせます。

あらかじめご遺族で打ち合わせておくと、葬儀社との進行もスムーズです。

  • お葬式の形式の決定
  • 場所の決定
  • 日程スケジュールの決定
  • 喪主の決定
  • 親族や参列者の人数確定
  • 供花の数量
  • 僧侶手配の有無
  • 祭壇の種類
  • 棺や骨壷の種類と分骨の有無
  • 料理や飲み物の種類や数量
  • 返礼品の種類
  • 遺影写真

 

訃報通知によるお葬式スケジュールの案内

お葬式の日程が確定したら、親族をはじめ、故人の友人や知人、会社や学校の関係者、近所の方や町内会、自治会などへ連絡を行います。

それぞれ代表となる方へ連絡し、その方から伝えてもらうようにすると負担が軽減できます。

 

納棺~お通夜が始まる前にしておきたいこと

納棺するときに故人へ行うこと

お通夜に際して、ご遺体を棺へ納めることを納棺と呼びます。

あの世への旅立ちに備えて、ご遺体を清拭や湯灌し、死装束へ着替えさせたり、死化粧を行ったりします。

棺には故人が愛用していた副葬品を納めますが、メガネや入れ歯などは入れないようにします。

基本的には、火葬に際して危険な物や燃えない物、遺骨が汚れる物を避けましょう。

 

お通夜の前にしておきたいこと

お通夜までの間は、ゆとりのある隙を見付け、仮眠を取って体力を温存するよう心掛けてください。

突然のご不幸においては、緊張感から自覚されている方は少ないものの、お葬式が終わってからも、慣れない手続きや、法要、納骨など、しばらく慌ただしさが続くため、一段落すると寝込んでしまう方が多く見受けられます。

喪主や遺族の立場では、寝不足などによる疲労をなるべく解消しておくことも重要です。

 

お通夜~通夜振る舞い

お通夜

お葬式は一般的に、お通夜と葬儀・告別式2日間に亘って行われます。

その1日目に当たるのが、お通夜。

家族や親族、故人に縁のあった人たちが集まり、故人との思い出を語り合ったり、別れを惜しんだりしながら、冥福を祈ります。

本来、お通夜とは、お焼香とろうそくの火を絶やさず、夜通し故人を見守る儀式として行われていました。

しかし近年では、弔問客が参加しやすいように18時〜19時頃から行われる1~2時間程度の「半通夜」が多くなっています。

 

お通夜の準備と流れ

  • 喪主や遺族は着替えを済まし、1時間前には会場へ到着しておきます。
  • 供花の配列を決めたら、後々のお礼のために誰から贈られたかを記録しておきましょう。
  • 受付の手伝いを誰かに依頼する場合、30分前には開始できるよう早めに来てもらい、喪主や遺族からお礼を伝えてください。
  • 僧侶へお布施をお渡しします。着替えや準備のタイミングがあるため、渡し方などを含めて分からないことは葬儀社の世話役へ相談してください。
  • 席次は祭壇に向かって右側が遺族や親族です。喪主が祭壇寄りの内側となる上座へ座り、続いて遺族と、故人に近い人から家族単位で着席します。
  • お通夜の読経は30分程度で終わります。
  • 喪主や親族からお焼香をしますが、宗旨宗派により、焼香の作法は異なるため、事前に確認しておきましょう。
  • 法話や説教の後、僧侶が退場されるため、お辞儀しながらお見送りします。
  • 喪主が参列への感謝や、生前の故人へのお礼の言葉を伝えます。通夜振る舞いと、翌日の葬儀時間の案内もお忘れなく。
  • 翌日の葬儀時間は司会者から伝える事も多く喪主の挨拶も司会者が代行する場合もあります。

 

通夜振る舞いにおける喪主や遺族のマナー

お通夜の後、1時間程度の通夜振る舞いを行います。

通夜振る舞いは僧侶、参列者がお帰りになられてからお食事をします。

喪主や遺族は、「本日はありがとうございます。どうぞお召し上がりください。」と簡単な挨拶をし、僧侶や参列者の元へお礼を伝えに行きます。

喪主は時間を見計らって、閉めの挨拶を行います。

僧侶が食事を召し上がらない場合、御膳料として1名につき5,000円程度のお布施をお渡しします。

なお、最近のコロナ禍では、通夜振る舞いを持ち帰り形式にすることもあります。

 

葬儀・告別式~出棺

葬儀と告別式の違い

お葬式の2日目、お通夜の翌日は葬儀・告別式を行います。

葬儀と告別式は混同されがちですが、本来の意味は異なります。

葬儀は、故人の冥福を祈り弔う、宗教色の強い儀式のこと。

そして告別式は、遺族や生前に故人と縁のあった方々がお別れを行う社会的な儀式です。

つまり、僧侶による読経が葬儀、参列者によるお焼香が告別式に当たります。

 

葬儀・告別式の準備と出棺まで流れ

  • お通夜と同様に、喪主や遺族は着替えを済まし、30分~1時間前には会場へ到着しておきます。
  • 受付の手伝いを誰かに頼む場合、30分前には開始できるよう早めに来てもらい、喪主や遺族からお礼を伝えます。
  • 席次はお通夜と同じです。司会者による開式の言葉を経て、葬儀が始まります。
  • 僧侶による読経は、宗派によって30分〜1時間程度で終わります。
  • 弔辞を依頼する場合、会社関係者など故人とゆかりの深い方へ依頼します。故人の人柄や思い出など弔辞を読み上げます。読み終えた奉書は、畳んで表書きをご霊前に向けて壇上に供えます。
  • 弔電を読み上げる場合、あらかじめ対象の弔電を葬儀社と打ち合わせておき、複数いただいた場合は、名前のみ読み上げてもらいます。
  • 弔辞・弔電後、再び僧侶による読経が始まり、喪主や遺族からお焼香を始めます。
  • 読経が終わり、僧侶が退場したら、司会者による閉会の言葉があります。
  • 遺族や親族、親しい方々で棺へ別れ花や故人の愛用品、思い出の品などを納めて最後のお別れを行います。
  • 棺は一般的に、男性6人ほどの手で霊柩車や寝台車へ運び入れます。
  • 喪主、または親族の代表者が出棺の挨拶として、見送ってくれる会葬者へお礼を伝えます。
  • 棺を乗せた車が火葬場へ向かったら、遺族や親族も火葬場へ向かいます。このとき、喪主は位牌、遺影は遺族の代表が持ちます。

 

火葬~収骨~火葬・埋葬許可証の取得お通夜

火葬と収骨の流れ

  • 火葬場に到着したら、火葬許可証を提出して受付を行います。(斎場によっては原則火葬の前日までに斎場へ行き申し込みをを済ませることもあります。)分骨する場合、分骨証明書を申請します。
  • 順番となったら、火葬炉の前で納めの式として、読経とお焼香を行います。(斎場によってはお焼香や拝顔でのお別れになる場合もあります。)
  • 火葬に要する時間は約1〜2時間程度。予約していれば控え室を利用できますが、それ以外の場合はロビーで待機します。
  • 火葬が終わったら収骨室で骨上げを行いますが、お骨拾いの前に埋火葬許可証を手渡しされますので、紛失しないよう数人で保管場所を確認しておきましょう。

 

火葬・埋葬許可証について

前述のとおり、火葬許可証発行の申請は市町村役場にて、死亡届と同時に行うのが一般的です。

多くの葬儀社では、これらを代行してもらえますが、火葬許可証がなければ火葬できないため、葬儀・告別式へは必ず持参してください。

また、火葬許可証は、火葬後に埋葬許可証となり、遺骨を納骨や埋葬する際に必要となります。

 

繰り上げ法要(初七日法要・精進落とし)

初七日では、追善法要の一つとして、故人の冥福を祈るために法要を営みます。

故人が亡くなり、命日を含めて7日目のことを初七日と呼びます。

浄土真宗では、亡くなったらすぐ極楽浄土に辿り着くと考えられていますが、それ以外の宗派では、三途の川に辿り着くのが初七日と言われています。

本来は、言葉どおり7日目に執り行いますが、近年は初七日法要を葬儀と一緒に行う「繰り上げ法要」が主流です。

また、初七日法要を葬儀と共に行う「繰り込み法要」も増えています。

火葬後、火葬場の控え室や葬儀場に戻って会食をしますが、この際、僧侶や会葬者を労う目的で精進落としを用意します。

 

火葬後に葬儀を行う「骨葬」

骨葬とは、先に火葬を行ってから葬儀を執り行うお葬式の流れとなります。

北海道・東北地方をはじめ、九州の一部の地域などでは、骨葬が行われています。

地域性以外にも、ご遺体の状態などによって骨葬が行われる場合があります。

 

亡くなってからお葬式までの日数は何日?

夏場は3日程度、冬場は4日程度です。

首都圏では火葬場の空き状況、地方では遺族の帰省事由などの影響により、更に1日ずつぐらい延びる傾向です。

 

お葬式におけるスケジュールの決め方(通夜・告別式の日程の決め方)

ご遺体は死後24時間以内に火葬や埋葬ができない法律がある

ご遺体は次のとおり、24時間以内に火葬を行ってはならない法律が定められています。

墓地、埋葬等に関する法律 第48号3条
「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。」

 

火葬場の利用は事前の予約が必要

火葬場は、あらかじめ予約することが必要です。

また斎場毎に異なりますが、元旦など定休日がありますので、火葬場は事前に葬儀社を介して予約をしてください。

 

火葬では友引の日を避ける習慣がある

六曜の「友引」は、友を引くという語呂合わせから、火葬する日としては縁起が悪いという言い伝えがあります。

仏教は六曜と無関係のため、しきたりを気にしなければ火葬はいつ行っても問題ありません。

しかし、遺族が気にならない場合でも、親戚や故人の友人など、周囲が気にする可能性はあるため、ご注意ください。

また、友引を選ぶ場合、縁起を鑑みて人形を一緒に火葬する方法もありますので、ご利用の葬儀社へご相談ください。

 

菩提寺への事前のスケジュール確認が重要

お付き合いのある菩提寺があり、お葬式で読経を依頼する場合は、あらかじめお寺へ連絡して、スケジュールを確認します。

更に、戒名を授けていただく場合も事前に要望を伝えます。

遠方から足を運んでいただく場合は、移動時間の考慮はもちろん、旅費やタクシー代・宿泊費などをお布施に加算するよう注意します。

 

お葬式は最短1日から執り行える

一日葬とは、本来の2日間に亘るお葬式に対して、通夜を省略し、葬儀・告別式の1日に短縮する形態です。

近年では葬儀社で様々なプランが用意されています。

そのうち一日葬は、家族葬など規模が比較的小さいお葬式を検討される方に向いています。

1日で火葬まで完了できるため、遺族の疲労や費用負担を軽減することができます。

 

葬儀プランによるお葬式の流れとスケジュール例

直葬の場合 タイムスケジュール例

1日目
10:00 納棺・出棺
11:00 火葬
12:30 収骨

 

一日葬の場合 タイムスケジュール例

1日目
09:00 納棺
10:00 集合
11:00 葬儀・告別式
12:00 出棺
12:30 火葬
14:00 初七日法要・精進落とし
14:30 収骨
16:00 解散

 

家族葬・一般葬 タイムスケジュール例

1日目
17:00 納棺
18:00 集合
19:00 通夜
20:00 通夜振る舞い
21:30 解散

2日目
10:00 集合
11:00 葬儀・告別式
12:00 出棺
12:30 火葬
14:00 初七日法要・精進落とし
14:30 収骨
16:00 解散

 

骨葬 タイムスケジュール例

(先に密葬を執り行い、お骨になってからスケジュールを組みます。)

10:00 出棺
10:30 火葬
12:00 収骨
14:00 集合
15:00 葬儀・告別式
16:00 初七日法要・精進落とし
17:30 解散

 

お葬式の流れやスケジュールについて徹底解説【まとめ】

お葬式は主に、直葬・一日葬・家族葬など、葬儀プランによって、タイムスケジュールが異なります。

このタイムスケジュールを事前に把握しておくことが、お葬式で失敗や後悔をしない秘訣となります。

お葬式の在り方は、時代と共に変化しています。

今回は基本的なお葬式の流れについてご紹介しましたが、音楽葬やアットホームな語らいの食事会など、お葬式のスタイルは様々です。

これからお葬式をご検討される方は、故人と遺族、親族の皆様が納得のできるお葬式に向け、お役立ていただけると幸いです。