突然の訃報を受けて、弔問に訪れなければならない時、戸惑うことは多いですよね。
自分は弔問した方が良いの?
いつ弔問するべきなの?
どんな服装と持ち物で弔問するの?
ここでは、弔問に関するあらゆる知識を一挙にご紹介し、詳しく解説します。
弔問で失敗しないための心得は、あらかじめ手順やマナーを心得ておくことです。
遺族へ失礼のないよう、作法についても説明しますので、どうぞ参考になさってください。
弔問(ちょうもん)とは?
弔問とは?
弔問とは、訃報を受けた人が、遺族へお悔やみの言葉を伝える目的で、故人が安置されているご自宅などへ個別に訪問することをいいます。
弔問の対象になる人とは?
弔問客になるのは、故人の親族、故人や遺族の親友など親しい関係にある人、お葬式へ参列できない人が対象です。
なお、お葬式へ参列する場合、特に親しい関係でない限り、弔問は行わないことが一般的です。
弔問を控えるべき人とは?
・訃報通知で「弔問は遠慮させていただきます」と記されている場合
・弔問の日時を確実に約束ができていない場合
・遺族に気遣いをさせないよう、慶事を控えている場合や体調が芳しくない場合
・弔問によって遺族の哀しみが深まる可能性がある場合
弔問の前にするべきこと
弔問にあたっては、必ず事前に次の3つを遺族へ伝えて、弔問の日時を約束してから訪問してください。
- 名前と関係
- 弔問の日時
- 複数名の場合は人数
弔問はいつするの?弔問に最適な3つのタイミング
弔問時期1 訃報を受けたらお葬式の前にすぐ弔問する
故人にとって3親等以内となる近親者をはじめ、故人や遺族とって特に親しい関係にある場合は、訃報を受けたらすぐに弔問することをお勧めします。
憔悴している遺族の立場になって励ますことができるのは、気心知れた親族や親友など、親しい関係にある方々です。
哀しみや不安を感じる時、寄り添ってくれる人がいることは、とても心強いこと。
すぐに駆け付けてくれる親族が近くに住んでいない場合は、より一層です。
葬儀の準備で慌ただしい遺族のために、食事や買い出し、他の弔問客へのお茶出しなど、身の回りのことをお手伝いして支えてあげてください。
また、お葬式では連絡係や受付係など、遺族側の一員としてサポートしてあげることが理想です。
遺族が頼りやすいように、「お手伝いするつもりで参りましたので、何でもおっしゃってください」「少しでも体を休めてください」と、優しく申し出てあげましょう。
なお、深いお付き合いでない限り、隣近所にお住まいの方などは、玄関先で挨拶のみを行う弔問を行うことが一般的です。
弔問時期2 お葬式に参列できない場合は四十九日忌までに弔問する
お葬式へ参列できなかった場合や、遺族と特に親しい関係ではない場合、一般的な弔問は、お葬式が終わってから連絡を取って訪問します。
この際、注意したいのは遺族への連絡のタイミングです。
お葬式の直後は遺族にとって疲れが出やすい時期。
遺族は様々な手続きや四十九日忌、納骨などで、後々まで忙しさが続きます。
そのため、お葬式が終わったら2~3日程度経過してから連絡し、遺族の予定に合わせて弔問日時を調整します。
なお、弔問は四十九日忌までに済ませることが理想です。
また、後々になって人伝てに訃報を耳にした方もいらっしゃるでしょう。
遺族が故人の友人関係などを知らないケースは多々あります。
その場合、次のように自己紹介を兼ねて遺族へ連絡しましょう。
「突然のご連絡を失礼いたします。
●●さんのご逝去に際しまして、心よりお悔やみ申し上げます。
私は●●と申しまして、●●さんとは●●をきっかけに●年来のお付き合いをしておりました。
●●さんとは親しくさせていただいておりましたので、写真が沢山ございます。
もしよろしければ、ご遺族の皆様へご挨拶かたがた、お写真をお渡しさせて頂きたいのですが、お時間をいただけないでしょうか?」
写真や遺作など、故人の思い出を共有してもらえることに喜ぶ遺族は多くいらっしゃいます。
弔問の意向を確認できたら、ぜひ訪れてあげてください。
弔問時期3 やむを得ない事情から四十九日後に弔問する
長期的な出張や入院などにより、お葬式へ参列できなかった場合や、遺族の様子を鑑みて、時間が経ってから弔問を行いたい方もいらっしゃるでしょう。
やむを得ない事情や遺族の意向があれば、弔問は時期を問わず、後から行っても構いません。
また、弔問にこだわらず、お手紙でお悔やみの気持ちを伝えることも一理です。
遺族の立場になって、より良い方法を選択してください。なお、四十九日忌以降は、お仏壇に手を合わせたり、お墓参りをしたり、故人のご供養が行われていることが通常です。
ご自宅への弔問ではなく、お墓参りをして欲しいなどの要望もあると思います。
その場合は、できるだけ遺族の希望に応えてあげましょう。
また、故人が恩師だった場合など、後からご不幸があったことを知って弔問するケースもありますが、団体の場合は代表者1~2名で訪問するなど、遺族へ迷惑を掛けないように配慮します。
どうしても有志一同で故人を偲びたい場合は、レストランなどを借り切って会費制で遺族を招待するなど、お別れ会を開催することがお勧めですよ。
弔問する時の服装とは?喪服?普段着でも良いの?
弔問の服装は略喪服を着用する
弔問では喪服でなはなく、「略喪服」を着用します。
略喪服とは、黒や紺やグレーなどの暗いトーンの服装のことをいい、男女別では次のとおりです。
男性:ダークスーツ・ジャケットとスラックス
女性:ワンピース・アンサンブル・パンツスーツ
男性は、ネクタイや靴下は暗いカラーで統一しますが、ノーネクタイでも構いません。
しかし、夏場であってもできるだけ肌の露出を控えるのがマナーです。
女性は、結婚指輪以外のアクセサリーは身に付けないように注意してください。
なお、子供であれば、制服や暗いトーンの普段着が相応します。
お葬式や弔問での平服とは普段着のこと?
お葬式や弔問などの仏事ごとにおいては、平服のことを略喪服とみなします。
そのため、遺族より「平服でどうぞ」と言われても、普段着ではなことを知っておきましょう。
弔問の持ち物とは?香典や供物を持参するの?
弔問での持ち物とは?
弔問する時の持ち物は、次のとおりです。
- 数珠
- ハンカチ
- お手伝いする場合は白または黒のエプロン
弔問は手ぶらで良いの?手土産や香典や供物を持参するべき?
持ち物として、お香典やお花、供物などを持参すべきでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、弔問の目的は、遺族へお悔やみの言葉を伝えること。
お葬式の前に弔問する場合、お香典や供物を渡すことはかえって失礼になりますので、ご注意ください。
また、お葬式に参列できない場合、一般的にお香典は初七日までを目安に現金書留で遺族へ郵送することがマナーです。
お葬式へ参列できず、ご近所付き合いなど少額のお香典や供物なら弔問での手渡しでも構いませんが、遺族は、四十九日忌が終わったらすぐに御礼状を送付できるよう、お香典返しの品物や御礼状作成の準備を行っているため、お香典は早めにお届けすることが礼儀となります。
とはいえ、ご自宅へ訪問するのに手ぶらで訪れることに抵抗のある方もいらっしゃるでしょう。
その場合、お葬式の前なら、枕花や遺族への手土産としての菓子折りを贈り物として持参します。
お葬式の後なら、お供え用の仏花や、「御供」の熨斗を掛けた供物や進物用のお線香などを持参しましょう。
弔問の手順とは?弔問で訪問した時の一連の流れ
1.弔問して良いかどうか遺族の許可を取る
電話でお悔やみの言葉を伝え、遺族へ弔問の許可を取ります。
長話を避け、次のように用件のみ伝えましょう。
「この度はお悔やみ申し上げます。
お辛い時に申し訳ございません。
差し支えなければ、ご挨拶にお伺いさせていただきたいのですが、ご都合はいかがですか?」
2.弔問をしたら、まず玄関先で簡単にお悔やみの言葉を伝える
ご自宅などへ訪問したら、まず玄関先で簡単に「この度は御愁傷様でございます」と、お悔やみの言葉を伝えて一礼します。
室内へ通してもらった際、他の遺族や親族が既に弔問へ訪れている可能性がありますので、その場合は同じように簡単に挨拶をします。
3.数珠を持ってお線香を手向ける
- 正座をして遺族へ一礼します。
- 祭壇に向かい、遺影に一礼します。
- ロウソクへ火を着けます。
- ロウソクから線香に火をつけ、左手で線香を仰いで火を消します。
- 両手を合わせて合掌します。
- 再び遺影に一礼し、遺族へ一礼します。
4.手土産や供物などを持参していたら遺族へ渡す
もし手土産や供物などを持参していたら、「謹んでお悔やみ申し上げます」と、遺族へ渡します。
この時、紙袋に入っている品物は、袋から取り出し、相手側に向けて差し出すことがマナーです。
5.亡くなってすぐの弔問で故人との対面を勧められた場合
故人との対面は自ら申し出ることはせず、遺族に勧められたら対応するようにします。
もしお断りする場合は、「お別れが辛くなりますので、遠慮させていただきます。」と、柔らかい言葉で伝えましょう。
故人との対面の仕方は次のとおりです。
- 遺族から対面の申し出があったら、「謹んで対面させていただきます」とお礼を伝えます。
- 数珠を持ち、故人の傍に正座します。
- 故人の顔が見えるよう、膝を着いたまま膝行で枕元へ進み、一礼します。
- 遺族が顔の白布を取り上げたら、手を膝に置いたまま故人の顔を拝見します。
- 故人へ深く一礼し、合掌します。
- 再び膝を着いたまま膝退で一歩下がり、一礼します。
6.故人の思い出話などを軽く話して帰宅する
「この度はお悔やみ申し上げます。」と、改めてお悔やみの言葉を伝えます。
遺族や親族へは、自己紹介を兼ねて挨拶し、故人との思い出の話をしましょう。
出会いや最後に会った時のこと、心に残っていることなど、遺族が不快にならない内容ならどのようなことでも構いませんが、「いつも奥様やお子さんのお話をされていましたよ」など、遺族にとって喜ばしい話ができると最良です。
長居し過ぎないように、会話は2~3分で切り上げて帰宅するよう心掛けてください。
もし、お葬式のお手伝いを申し出る場合には、この際に遺族へ伝えます。
まとめ
弔問では、服装や持ち物、手順やマナーなど、分からないことが様々あると思います。
特に間違えやすいマナーやポイントは、次のとおりです。
▼間違えやすい弔問のマナー
・服装は喪服や普段着ではなく略喪服
・必須の持ち物は数珠とハンカチ
・手土産や供物は不要で手ぶらでも可
▼お線香の手向け方に迷う時は遺族へ確認しましょう
お線香の手向け方は、宗旨宗派によって異なります。
お線香の本数に違いがあるほか、浄土真宗ではお線香を立てずに横へ寝かせます。
作法が分からないときは遺族へ尋ねても構いませんので、遠慮なく確認しましょう。
弔問では、遺族へどのような言葉で想いを伝えたら良いか迷う方もいらっしゃると思います。
お悔やみの言葉では、使ってはいけない「忌み言葉」などがあるため、知識として踏まえておくと役立ちます。
詳しくは、『お悔やみの言葉【例文とマナー】遺族への挨拶と手紙やメールの送り方』で解説していますので、よろしければ参考になさってくださいね。