余命宣告を受けたとき、本人は強い衝撃を受けます。
家族も本人と同様に戸惑いを感じ、これからどのようにすれば良いか不安に感じることがあるでしょう。
本人の気持ちのケアや、今後の病気や治療との向き合い方など、様々な心境が頭の中を巡るのではないでしょうか。
この記事では、突然家族が余命宣告を受けた際に、家族としてどのように対応するべきか、本人のためにできることについてご紹介します。
大切な家族のためにできることを考え、万が一のときに冷静に対応できるよう知識を備えておきましょう。
余命宣告について理解を深める
生きられる命の期間を「余命」といいます。
「◯ヶ月」「◯年」などの期間で表すことが一般的です。
「余命宣告」とは、重度の病気を抱えた患者に対して、その病状から判断した命の残りの期間を告げることを指します。
余命は、患者本人と同じ病気の人の過去のデータを遡り割り出した数値です。
これは、あくまで医師の目安によるもので寿命とは意味が異なるため、絶対的な数値ではないことを覚えておきましょう。
宣告された期間より長く生きられる可能性があることや、逆に余命までの命の保証が断定されるものではありません。
同じ病気でも、患者個人が抱える症状に差があるためです。
実際に、余命は長期間になるほど寿命と差が生じる傾向があり、反対に短期間であるほど寿命との一致率があがります。
このように医師にとっても余命の予測は困難なのです。
家族は突然宣告があった場合も、告げられた余命は必ずしも当てはまる数値ではなく、目安であることを理解しておく必要があります。
余命宣告を受けるまで
一般的に余命宣告は、病気の病状が重い場合に告げられる傾向があります。
とくに、がんなどの進行性の病気は、手術後に別の病気と合併する可能性があるため、患者や家族に対して余命宣告を行うケースが多くみられます。
病院で医師から家族が呼ばれて告げられる場合や、患者が同席する場合もあります。
あるいは、患者の病状が重篤な場合に、どれだけ生きられるかを自ら尋ねるケースもあるでしょう。
医師が病状をみて余命宣告が困難と判断した場合は、宣告自体を見送る場合もあるため、どの病気でも必ず宣告を受けるとは限りません。
家族としてできることを考える
余命宣告を聞いた際、本人が受けるショックは計り知れません。
家族も戸惑いや動揺を隠しきれないでしょう。
同時に、今後の過ごし方や、これから何を優先するべきかなど様々な不安に包まれます。
まずは、家族としてできることを考えましょう。
治療について考える
余命は必ずではありません。
しかし、余命宣告を受けた場合に、病気の治療について医師から選択を迫られることがあるでしょう。
まずは専門の医師から病気について詳しく説明を受けることが大切です。
病気であることを受け入れて、正しい選択をしなければならないのです。
治療方法には、「手術や放射線治療などで完治を目的とする方法」や、「寿命を伸ばすことを優先とした方法」「病気による痛みや苦しみをケアする方法」などがあります。
それぞれの治療方法には、リスクや副作用を伴う可能性があるため、医師の説明をよく聞いて納得した上で選択することが重要です。
リスクや副作用がある場合は、体にどの程度影響するのか、どれくらいの治療期間が必要か、など細かい点を調べておきましょう。
また、本人の意見を尊重することも忘れてはなりません。
家族は本人や医師と十分に話し合って今後の治療を考える必要があります。
親族や友人など周囲への連絡について考える
余命宣告を受けたら、誰しも絶望的になるなど感情がネガティブなものになります。
しかし、今後どのようにすれば本人が満足して過ごせるか、家族としての最善のサポート方法にはどのようなことがあるか、という点を中心に考える必要があるでしょう。
例えば、本人の友人や知人、親戚への連絡です。
宣告を受けてから一度気持ちが落ち着いていても、予断を許さない状況が近づくと、混乱することやパニックになることが予想されます。
本人が希望した場合は、危篤状態になる前に周囲に連絡しておきましょう。
その際に、本人の病気や病状、入院先の病院の名称や住所、家族の住所や連絡先などを伝えておきます。
万が一の事態には、周囲もサポートしてくれるでしょう。
準備するべき内容とは?
本人が悔いなく残りの生活を送るためには、家族の冷静な判断が大切です。
余命宣告が家族に向けたものである場合は、本人に知らせるべきか考える必要があるでしょう。
また、治療や精神的なケアなどを優先しながら本人とできることを考えなければなりません。
保険を確認する
本人が加入している保険について確認します。
もしものときのために、保険会社に連絡をして契約内容を把握しておきましょう。
中には、余命を告げられた患者が保険料を存命中に受け取れる契約のある生命保険会社もあります。
リビングニーズ特約では余命6ヶ月以内の患者が対象です。
保険料を受け取ることで治療の選択肢が広がることがあります。
相続・財産について
財産など相続関係は、生前から準備を進めるべき問題です。
相続配分を明確にしておらず、権利を巡って裁判に発展することは、家庭や親族間でよくあるトラブルなのです。
後から問題やトラブルを防ぐためにも、本人が財産をしっかりと把握しておくことが重要でしょう。
まずは、相続財産を精査します。
負債を含めて相続がどのくらいあるのか、不動産や株なども合わせて調査しましょう。
本人や家族での調査が困難な場合は、行政書士などの専門家に依頼することも1つの方法です。
相続財産は目録としてまとめて一覧にしておくと良いでしょう。
また、相続人は誰が相当か、なども十分に検討することが大切です。
相続財産や相続人はエンディングノートに記すことや、可能であれば遺言書などを作成しておくことをおすすめします。
終活について
本人と家族は、いざというときに備えて終活をしておく必要があります。
葬儀の形式や大きさ、費用などを決めておくことで、残された人の負担を減らすことができるのです。
葬儀会社を決める際は、なるべく複数社から見積もりを出してもらうなどして比較しましょう。
葬儀会社の選定は、パンフレットを取り寄せる、ホームページで検索する、など様々な方法があります。
葬儀に招く参列者のリストなどをエンディングノートに残しておくこともおすすめです。
また、菩提寺がある場合は、ご僧侶に報告しておくことも大切です。
葬儀に必要な準備や作法などを確認しておくことができるためです。
残された余生をどのように過ごすかは、本人や家族にとって大きな課題となるでしょう。
最近では、早いうちからエンディングノートを作成するなど、積極的に終活をする方が増えています。
余命宣告を受けると病状の悪化や精神的な落ち込みが予想されるため、気が付いたときに準備を進めておくことが良いでしょう。
エンディングノートには、葬儀や財産について、自分の生い立ちや家族親族の住所や連絡先、病院や治療法などを書きます。
また、家族への感謝の気持ちなどを記しておくことで残された人への励ましにもなるでしょう。
まとめ
この記事では、家族が余命宣告を受けたときの対応についてご紹介しました。
実際に宣告を受けたとき、本人や家族は深く落ち込み動揺するでしょう。
しかし、家族は落ち着いて準備を進めなければなりません。
充実した余生を過ごすことが本人にとって励みとなるのです。
-当記事の要約-
- 医師から病状の説明よく聞いて最善の治療法を考える
- 本人が希望した場合は友人や親族に連絡する
- 保険や相続関係を調査して遺言書などに残しておく
- エンディングノートを活用して終活を進めておく