親族が亡くなったときに、仕事先や学校に申請して取得する「忌引休暇」があります。

「忌引休暇」とは、お通夜や葬儀・告別式の準備、参列のために遺族が利用する休暇制度です。

「忌引休暇」を使う際に、取得方法や日数について迷った経験がある方がいるのではないでしょうか?

この記事では、

「忌引休暇はどのようにして取れば良い?」

「決められた忌引休暇の日数が知りたい」

など疑問を持つ方のために、正しい休暇の取り方や取得できる日数、マナーや注意すべき点などをご紹介します。

いざという場面で慌てることがないように制度の仕組みや基礎知識を身につけておきましょう。

 

忌引休暇の定義とは?

忌引休暇は、会社など職場の労働条件により定められている制度です。

法律上定められた制度ではないため、所属する会社ごとでルールが分かれます。

そもそも「忌引」とは、親族の訃報を受けた身内が弔事に時間を当てて「喪に服す」ことを指します。

親族の死を敬遠するため、家にとどまり慎ましい生活を送ることが、故人を偲び弔うものだとする考えがあるのです。

「喪に服す」期間は、冥界へ旅立つまでの四十九日(忌中)や、親族が故人の冥福を見届ける一年間(喪中)などがあります。

近年は、生活環境の変化から、喪に服す期間が短縮傾向にあり、会社で定められた忌引休暇は最大で10日ほどです。

忌引休暇は通常の欠勤扱いにはなりません。

学校の場合も同様で、欠席には該当しないでしょう。

最近では、飼い犬などペットの訃報にも忌引休暇を適用する会社が増えています。

ちなみに、忌引休暇は「慶事休暇」として結婚式などお祝い事の席でも適用されることが多くあります。

 

親等別の忌引休暇日数

忌引休暇は会社の服務規程として定められているため、規則は様々です。

一般的に休暇日数に関しては故人との関係が重視されるでしょう。

あらかじめ親等別で設定されているケースがほとんどです。

また、通勤する学校の場合は市町村などの自治体が管轄しているため、生徒規則に従う必要があります。

会社、学校いずれにしても所属先の規則に従う必要があるのです。

葬儀や告別式の準備に時間がかかることや、故人との血縁関係が濃い場合には、決められた休暇より長い日数を取得できる場合もあります。

こちらでは一般的な休暇日数についてご紹介します。

 

配偶者

故人の夫(妻)の忌引休暇は10日ほどが一般的です。

配偶者は近しい親族であり、喪主を務める場合は葬儀の進行や準備など沢山の手続きが必要となります。

故人との関係性や配慮から一週間以上の長い日数が設定されています。

 

一親等の場合

一親等とは両親(配偶者の両親)や子供を指します。

自分の両親の場合は7日ほどが一般的です。

親族の中で血縁関係が濃いため気持ちの負担が大きいことや、葬儀で中心的な役割を務める可能性があるためです。

配偶者の両親は3日ほど、子供は5日ほどが一般的でしょう。

 

二親等の場合

主に祖父母(配偶者の祖父母)や孫、兄弟姉妹が二親等にあたります。

自分の祖父母の場合は、多くの場合で3日ほどです。

また、自分の兄弟姉妹も同じく3日程度でしょう。

配偶者の祖父母や兄弟姉妹は1日程度が一般的です。

葬儀会場が遠方にあるなどの理由で移動に日数を費やす可能性もあるため、取得できる日数を事前に把握しておくことが重要です。

 

三親等の場合

叔父叔母(伯父伯母)や姪や甥などは、多くの場合で忌引休暇対象外となります。

ただし、故人との関係や家庭環境によっては会社判断で取得できることもあるため、一度総務担当者に相談してみましょう。

また、土日に忌引が重なった場合は土日も忌引休暇として数えることが一般的です。

ただし、会社や学校で独自の規則があるときは決められたルールに従うことが大切です。

 

忌引休暇の取り方

忌引休暇を使用するときは各種関係者に連絡を入れます。

自分が所属する会社や学校の規則は事前に十分確認しておきましょう。

会社の場合は正規、非正規など雇用立場によって取得日数が変動することがあります。

また、忌引休暇制度自体がない場合もあるでしょう。

社会人として服務規程を遵守するためにも規則を把握しておかなければなりません。

 

会社への連絡

最初に自分の直属の上司に連絡を入れます。

このとき、通常の休暇ではなく「忌引休暇」である旨を伝えましょう。

上司に連絡することで現在の仕事の進捗状況を共有できることや、今後の業務について相談ができます。

一般的に電話など口頭での連絡方法が望ましいとされていますが、真夜中や朝方など就業時間外の場合は、先にメールで報告しておくことも可能です。

この場合、メール文面の件名を「忌引休暇の件」として、本文に故人との関係や、忌引休暇をどれくらい取得するか(日数)、目的、忌引休暇中の連絡先などを記載しましょう。

メールしたときは必ず後から電話で口頭連絡を入れておくことが重要です。

 

学校への連絡

子供が未成年の場合は、保護者が電話連絡を入れることが基本とされています。

事前に生徒規則で定められた忌引休暇日数を確認した後、学校の代表番号に電話を入れて忌引休暇を取得する旨や故人との続柄、忌引休暇をどのくらい取得するか(日数)、連絡先などを伝えましょう。

電話以外の伝達方法で、書面やメールなど学校指定がある場合は、決められたルールに従います。

必ず最初に忌引休暇であることを伝えて、子供の出席日数に影響を及ぼさないようにしておくことが重要です。

 

気をつけたい忌引の休暇マナーとは

会社や学校に忌引休暇を申請する場合は、周囲へ迷惑をかけないように最低限のマナーを守ります。

組織はお互いのコミュニケーションや連携で成立しています。

勝手な判断や誤った行動が、思わぬ問題やトラブルを招きかねないのです。

忌引を取得する際の注意点を解説しますので、今後の参考にして下さい。

 

引き継ぎ事項は完璧に

数日間会社を休むときは、周囲へ業務内容の引き継ぎをしておく必要があります。

とくに、担当業務に期限がある場合や顧客との商談の約束がある場合は、連絡時に現状を伝えて業務に支障がでないよう配慮することが社会人としての最低限のマナーといえます。

また、取引先との仕事の調整は、直接個人からではなく会社を通して連絡する方が望ましいケースもあるため、一度上司に相談しましょう。

 

休暇後に心がけること

復帰後は会社の上司や同僚、学校の先生に対して、葬儀を無事に終えたことや迷惑をかけた感謝の気持ちを伝えます。

業務を引き継いだ場合は代わりに負担となってくれた人も存在するため、ご厚誼を姿勢で表すことが礼儀といえます。

親族の訃報は誰しも経験する可能性があるため、マイナスに捉える人はほとんどいません。

皆に配れる菓子折りなど用意することも大切です。

また、香典をいただいた場合は香典返しを用意して渡します。

いただいた金額の半額ほどで食品などが良いでしょう。

香典返しには挨拶文を添えて渡すことがマナーとされています。

 

必要書類を求められたら

会社から書類の提出を求められた場合は、「死亡診断書」「葬儀列席証明書」「火葬許可証」「会葬礼状」などを速やかに渡します。

「葬儀列席証明書」は、葬儀社に相談すれば作成してくれます。

詳細がわからない場合は上司や担当者に確認しましょう。

 

まとめ

この記事では忌引休暇を取得するときの方法や、親等別の日数などをご紹介しました。

会社や学校の規則に従い正しく休暇を取得することが大切です。

    • 忌引休暇は法律ではなく、会社の労働条件や服務規程により決められた制度である
    • 学校の場合は生徒規則で定められているため事前に要確認
    • 忌引休暇を申請するときは、決められた取得日数など条件を確認しておく
    • 忌引が長期に及ぶときは、周囲への引き継ぎを済ませておく
    • 忌引き明けは会社や学校に挨拶をして感謝の思いを伝える