「家族がいない自分が亡くなったら、葬儀はどうなるのだろう」「疎遠だった親族が亡くなったと連絡が来た」――身寄りのない方の葬儀は、分からないことが多く不安になりやすいものです。
結論からいうと、身寄りがない方が亡くなり、火葬をする人がいない場合は、法律にもとづいて自治体が火葬を行います。ただし、自治体の対応は火葬が中心で、本人の希望は反映されにくいのが実情です。
この記事では、亡くなった後の流れや費用、疎遠な親族として連絡を受けたときの注意点、生前にできる備えをわかりやすく解説します。
身寄りがない人が亡くなった後の流れ
身寄りのない方が亡くなった場合、おおまかに次の流れで進みます。
- 亡くなったことの確認
- 身元と親族の確認
- 死亡届と火葬許可の手続き
- 火葬
- 遺骨の保管と納骨
細かな対応は自治体によって異なりますが、一般的な流れを見ていきましょう。
亡くなったことの確認
病院や施設で亡くなった場合は、医師が死亡を確認し、状況に応じて死亡診断書や死体検案書を作成します。
自宅で亡くなった場合も、必ず警察が来るわけではありません。かかりつけの医師が、治療中の病気による死亡と判断できれば、死亡診断書が作成されます。死因が分からない場合などは医師が遺体を調べ、異状が認められたときは警察に届け出ます。
一人暮らしの場合は発見までに時間がかかることもあり、そのぶん手続きにも日数がかかりがちです。
身元と親族の確認
次に、主に自治体が戸籍などをもとに親族を探し、見つかれば遺体の引き取りや葬儀について連絡します。
親族が引き取りを断っても、すぐに自治体の火葬になるとは限りません。ほかの親族に確認することもあり、進め方は自治体や状況によって異なります。
死亡届と火葬許可の手続き
火葬をするには、市区町村の火葬許可が必要です。通常は死亡届を出すときに、あわせて手続きをします。
死亡届は、親族のほか、同居していた人や家主、条件によっては病院・施設の長なども出すことができます。届け出る人がいない場合でも、自治体が手続きを進める仕組みがあります。
火葬
火葬をする人がいない場合は、法律(墓地、埋葬等に関する法律)にもとづき、亡くなった場所の市区町村が火葬を行います。身元が分からず引き取り手もいない方などについては、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」にもとづいて自治体が対応する場合があります。
なお、法律で原則として亡くなってから24時間は火葬できないため、それまでは安置施設などで保管されます。
遺骨の保管と納骨
火葬後の遺骨をどのくらい保管し、どこに納めるかは自治体によって異なります。一定期間保管したあと、ほかの方の遺骨と一緒に納骨堂などへ納める自治体もあります。
葬儀費用や遺品はどうなる?
次に、気になるお金や遺品のことを見ていきましょう。
自治体が火葬した場合の費用
自治体が火葬した場合、費用は原則として故人が残したお金から支払われます。足りないときは、法律にもとづいて相続人に、相続人から払ってもらえない場合は扶養義務者(子・親・きょうだいなど)に請求されることがあります。
ただし、実際の請求は自治体や事情によって異なり、費用を回収できない場合は公費で負担されることもあります。
「葬祭扶助」と「葬祭費」の違い
名前は似ていますが、別の制度です。
- ・葬祭扶助:生活保護法にもとづき、一定の条件を満たす場合に、葬儀に必要な費用を支援する制度です。故人が生活保護を受けていて葬儀を行う扶養義務者がいない場合や、生活保護を受けていなくても扶養義務者がおらず、故人のお金で費用をまかなえない場合などに利用できることがあります。民生委員や家主などが葬儀を行うケースもありますが、条件の確認があるため、必ず使えるとは限りません。
- ・葬祭費:国民健康保険や後期高齢者医療制度に入っていた方が亡くなったとき、葬儀を行った人に支給されるお金です。自治体が火葬した場合などは、対象にならないことがあります。
葬儀費用の準備が難しい場合は、以下の記事も参考にしてください。
部屋・遺品・借金の扱い
預貯金や遺品だけでなく、借金も原則として相続の対象です。そのため、近所の人や大家さんが善意でも、遺品を勝手に処分することはできません。
相続する人がいない場合、大家さんや債権者などが申し立てると、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選ぶことがあります。清算人の役割は、財産を整理して借金などを支払うことです。
故人と特別な関係があった人は、家庭裁判所の判断で財産の一部などを受け取れる場合もあり、最終的に残った財産は国のものとなります。こうした手続きには時間がかかるため、部屋の片付けがすぐには進まない点にも注意が必要です。
疎遠な親族として連絡を受けたら
長年会っていなかった親族の死を、警察や役所からの連絡で知ることもあります。遺体の引き取りや葬儀、相続について、知っておきたいことを説明します。
引き取るかどうかは事情に応じて判断できる
親族であっても、必ず遺体を引き取ったり、葬儀をしたりしなければならないわけではありません。距離や体調、経済的な事情から断る方もいます。
ただし、自治体が火葬をした場合、法律にもとづいて相続人や扶養義務者に費用が請求されることがあります。実際に請求するかどうかは自治体や事情によって異なるため、連絡を受けたときに確認しましょう。
火葬だけを葬儀社に依頼する方法もある
「葬儀までは難しいけれど、最後は見送りたい」という場合は、通夜や告別式をしない「直葬(火葬式)」を葬儀社に依頼する方法もあります。火葬場や葬儀社によっては、火葬の前に短いお別れの時間を持てることもあります。
葬儀社に依頼する場合は費用がかかるため、事前にプランの内容や料金を確認しましょう。
相続放棄を考えている場合はお金の扱いに注意
遺体の引き取りや葬儀と、遺産を相続することは別の話です。ただし、故人の預貯金を自分のために使ったり、遺品を処分したりすると、相続放棄が認められなくなるおそれがあります。
故人のお金で葬儀費用を払うことが、すぐに相続放棄できなくなる理由になるとは限りませんが、支出の内容や金額、個別の状況によって判断が分かれるため、事前に弁護士や司法書士に相談しましょう。
相続放棄は、原則として自分が相続人になったと知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てる必要があります。
自分の希望をかなえるには、元気なうちの備えが大切
自治体の対応は最小限のため、「お世話になった人に見送ってほしい」「この場所に納骨してほしい」といった希望をかなえるには、生前の備えが欠かせません。
- ・希望を書き残す:葬儀の形式や知らせてほしい人、納骨先をエンディングノートなどにまとめる
- ・死後のことを任せる契約を結ぶ:「死後事務委任契約」で、葬儀や納骨、部屋の片付けなどを信頼できる人や専門家に託す。契約内容や費用も確認しておく
- ・葬儀社に相談しておく:希望する葬儀の内容や費用の目安を確認しておく
まとめ|身寄りがなくても、備えがあれば希望に沿った見送りができる
身寄りがない方が亡くなり、火葬をする人がいない場合でも、自治体が火葬を行う仕組みがあります。ただし対応は最小限のため、希望がある方は元気なうちに書き残したり、託す相手を決めたりしておきましょう。
疎遠な親族として連絡を受けた場合は、引き取りを断っても費用を請求されることがある点や、相続放棄との関係に注意して対応を考えることが大切です。
火葬をする人がいない場合は、亡くなった場所の市区町村に相談しましょう。また、葬祭扶助については福祉事務所、相続については弁護士や司法書士、直葬などの葬儀については葬儀社が相談先となります。
大阪市民葬センターでは、大阪市・堺市を中心に、葬儀に関するさまざまなご相談を承っています。
「身寄りがなく、自分の葬儀が心配」「疎遠だった親族の葬儀をどうするか迷っている」といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。



